みずがめ座
四股いきいきと
生き延びるための必要条件
今週のみずがめ座は、『台風や四股いきいきと雨合羽』(草間時彦)という句のごとし。あるいは、自分に使える力を総動員する準備を整えていこうとするような星回り。
台風が来るとたいていの動物は身を寄せ合っておとなしくしているもので、人間もまた同じようなところはあるものの、掲句のように川やがけを見回るため、「雨合羽」で完全武装した人間となると事はすこし違ってきます。
子どもの頃は台風が来るたびに自然と血が騒いで元気になったものでしたが、火事場に向かう消防士などと同様に、災厄に立ち向かう準備ができていたり、大事な人を守るべしという使命感に駆られた人間というのは、むしろ普段よりも力に満ちていたり、動きが敏捷になったりしていくはず。
ここで思い出しておきたいのは、これまでに誕生した生物種のうちじつに99.9%の生物種が絶滅してきたということ、しかもそれは彼らの能力が劣っていたり不足していたからというより、たまたま居合わせた時代と場所が悪かったために絶滅したという事実です。
古生物学者のデイヴィッド・ラウプはそのことを「理不尽な絶滅」と呼びましたが、逆に言えば、そうした絶滅の危機を生き延びて進化してきた現在みられる生物種というのは、掲句の「台風」のような想定外の理不尽に、むしろ「四股」を「いきいき」させてきたからこそ生き延びてこれたのではないでしょうか。
8月26日にみずがめ座から数えて「生命力」を意味する5番目のふたご座で下弦の月(意識の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、ただ惰性のままに生命力を萎えさせていくのでなく、いかに四股をいきいきさせられるかを考えていきたいところです。
自然人と内なる自然
「自然体」と私たちはつい簡単に口にしますが、もちろんそれは「内なる自然」の発見や、「自然人」となることとセットになっている、という文脈も見逃してはならないものです。
内なる自然の発見とは、つまり既存の社会常識や植えつけられた価値観と対立してはいるが、その一方でごく自然なことのようにも思える感情や行動や本能を垣間見ていくこと。
さらに「自然人」とは、必ずしも人里離れた山奥や森の中に住んだり、昔ながらの生活している人のことではなくて、わかりきったものとされているものや、自明のものの中に、新鮮な印象や味わいを発見したり、自分のしている営みの中に畏怖や心の底からの親しみを見出せる人のことを指しています。
おそらく冒頭の句や、あるいはホラティウスの有名な「Carpe diem(カルペ・ディエム/この日を掴め)」という言葉もまた、そうした「自然人」的な営み、ないし「内なる自然の発見」が放った一瞬を切り取った奇跡の1枚のことなのでしょう。
今週のみずがめ座もまた、心波立つ体験のなかでこそ、どうか満たされていくしあわせを感じとってみてください。
みずがめ座の今週のキーワード
自然体でいること