みずがめ座
百年の計
負けない戦略
今週のみずがめ座は、孫子の兵法の2つの骨子のごとし。あるいは、何らかの未来予測や本で得た知識を現実にどう活かすかを、徹底的に思案していこうとするような星回り。
紀元前に活躍した古代中国の兵法家の中でも最もよく知られている人物が、『孫子の兵法』として戦争の戦略と戦術について記した孫武でしょう。
その第1の思想は「戦わずして勝つ」こと。これは相手と百戦して百勝するのは必ずしも良いことではなく、いかに戦う回数を減らせるか、また戦争のもたらす消耗を最小限に抑えられるかという方向に考えを巡らせ、しかも戦う前にできるだけ戦わずに済む戦略を立てるように諭すのです。
そして第2の思想は「現実をよく観察せよ」ということ。「多数の樹木がゆらめき動くのは、敵軍がひそかにその中を進撃しているのである。(中略)鳥がにわかに飛び立つのは、敵の伏兵がいるからである。獣が驚いて走り去るのは、敵軍の奇襲攻撃である。(中略)あちこちに砂埃が細く立ちのぼるのは、燃料となる薪を採集しているのである」。まさに情景がありありと浮かぶような、精密な観察ではないでしょうか。
この第2の思想のなかに、あの有名な一節、「彼を知り己を知れば、百戦して殆うからず」という言葉がある訳ですが、じつはこうした孫子の勝負の哲学は、そのまま占いの活用法にも通じるように思います。
すべてのチャレンジを成功させるために占いを無理にでも使うというより、大難を小難に、小難を無難に減じていくことこそが第一に気を付けるべきことであり、どんな悪いことが起きそうか、それを防ぐには何をすべきかを洗い出すことが大事であり、さらに占いが活きるかどうかは、どれだけ日常や社会の現実を精密に観察できたかにかかっているのです。
2月29日にみずがめ座から数えて「経済戦略」を意味する2番目のうお座で土星と太陽と水星の3つの惑星が重なっていく今週のあなたもまた、どれだけ自分の活動や普段の行動に落とし込めるかを試してみるといいかも知れません。
役に立ったらそこでおしまい
中国古典の『荘子』には面白いエピソードが数多く出てきますが、そのうちの一つに、幹がこぶだらけで枝の曲がりくねった大木があって、これを何の役にも立たないと言う人に、荘子が次のように語ったという話があります。
大木があって用いようがないとご心配のようですが、それを何物も存在しない広々とした空漠の野原に植えて、そのまわりでかって気ままに休息し、その樹陰でのびやかに腹ばって眠るということを、どうしてなさらないのです(金谷治訳注)
役に立つかどうかを確かめ、有用性を求めるのは、たしかに一つの知性のあり方ですが、一方で荘子は「人々はみな有用なものが役に立つことはわかっていても、無用なものが役に立つことを知らない」と言います。
これは「有用性」とか「役に立つ」か否かに基づく知というものが、どうしても偏ったものになってしまいがちで、時代や社会や文脈に応じて変化していくものだということに警鐘を鳴らしている訳で、「無用の用」という言葉もここから生まれたのだそう。
今週のみずがめ座もまた、短期的な視点や目先の利益を追うだけの価値観からできるだけ距離を取っていくことがテーマとなってくるはずです。
みずがめ座の今週のキーワード
役に立たないと思われているものが、実際は大きな役割を果たしていること。