みずがめ座
生きたリズムを呼び込む
細やかな休息を
今週のみずがめ座は、山林伐採の老練な労働者のごとし。あるいは、「ささやかな遊び」と「ひそやかな愉しみ」をきめ細やかに織り込んでいこうとするような星回り。
山林伐採の労働者たちは、老練になればなるほど入って日が浅いアルバイトの性急さをあざ笑うかのように、ほとんど禁欲的なほど小さな歩調でゆっくりと山道を登り、十分すぎるほどの「食休み」を取りながら、最後まで汗をかかないで仕事を終え、長老格になるとそこに周囲を退屈させない話術さえ加えながら、山を下るのだといいます。
彼らは「山林」という苛酷な環境において、ちょっとしたストレスや焦り、神経の摩耗がどれだけ自分たちの身を危険に晒し、命取りになるかをよく知っており、からだやこころの緊張を和らげるための習慣づけを日頃からよく心がけているのでしょう。
一方、精神科の患者には休息が不得手だったり、ほとんど休息抜きの労働を長時間続けがちで、そのために結果的に働けなくなってしまったような人が少なくありませんし、歴史的にもいかなる職業であれ(奴隷労働においてさえ)「ささやかな遊び」と「ひそやかな愉しみ」は存在してきたのです。
29日にみずがめ座から数えて「物事への向き合い方」を意味する7番目のしし座で下弦の月(離脱と解放)を迎えていく今週のあなたもまた、真剣さを休みなく働くことに直結させるのではなく、逆にどれだけそのリズムを健全なものに整えられるかがテーマとなっていきそうです。
ニュートン時間に対するベルクソン時間
客観的に決められた目盛りで寸分の狂いもなく測ることのできる物理的時間のことを、ベルクソンは過去の実績や評価と対応させて「流れ去った時間」と言い、これは後にニュートン時間とも呼ばれ、これは他ならぬ<私>と無関係であるにも関わらず近代以降の社会で変わらずに重視されてきました。
それに対し、今この瞬間に<私>によって感じられる心理的時間のことを、ベルクソンは人生そのものと対応させつつ「流れつつある時間」と言い、こちらは彼の名前にちなんでベルクソン時間と呼ばれています。
29歳の時に書いた『時間と自由』の中で、彼は「自由行為は流れつつある時間の中で行われるもので、流れ去った時間の中で行われるものではない」と述べており、通常の我々は「みずから行動するよりもむしろ‟行動させられて”いる」のだとしていますが、これは今のみずがめ座の人たちが感じやすい乖離や疎外の感覚にも近いかも知れません。
その意味で、今週のみずがめ座は、どうしたら再び「流れつつある時間」の続いている「純粋持続」へと自分を置いていけるかが試されていくでしょう。
みずがめ座の今週のキーワード
流れよ!