みずがめ座
無心の訓練
プネウマ体感
今週のみずがめ座は、「暗がりに坐れば水の湧くおもひ」(富澤赤黄男)という句のごとし。あるいは、さりげなく、深いところに足を踏み入れていくような星回り。
日課である早朝の坐行のおりの心境を詠った一句。闇空間に深々と坐る。生活空間の喧噪や、慌ただしい日々における憂慮がしだいに途絶えて、漆黒の宇宙空間に身が沈んでいく。
そんなイメージに浸り始めるや否や、自己も周囲も吹き通しになったような、宇宙大の闇空間全体から、清冽ななにかが噴き上げてきた。ちっぽけな人間である自分を噴出孔にして、あまねく宇宙に充ちている生命の息吹(プネウマ)のようなものが湧き出し、周囲にあふれ、いつの間にかゆったりとそこに安らいでいる自分に気付く。
勝手にその心境を書き連ねれば、おおむねそんなところでしょうか。これは居眠りの最中にみた夢ではなく、あくまで日々の積み重ねのなかで、思いがけずニョッキリ現れてきた体験の深まりであり、きわめて現実的で日常のかたわらにあった風景なのです。
22日夜に自分自身の星座であるみずがめ座で迎える満月から始まっていく今週のあなたもまた、同じように日々の小さな積み重ねのなかで、いかに自身にやすらぎをもたらしていけるかということがテーマとなっていきそうです。
自然な呼吸で
最果タヒはイラスト詩集『空が分裂する』のあとがきで、自身が詩を「なんとなく、書き続けてきた」経緯について、次のように振り返っています。
創作行為を「自己顕示欲の発露する先」だという人もいるけれど、そうした溢れ出すエネルギーを積極的にぶつける場所というよりは、風船みたいに膨らんだ「自我」に、小さな穴が偶然開いて、そこから自然と空気が漏れだすような、そんな消極的で、自然な、本能的な行為だったと思う。誰かに見られること、褒められること、けなされること、それらはまったく二の次で、ただ「作る」ということが、当たり前に発生していた。
「自然と空気が漏れだすような」というところなどは、まさに今のみずがめ座にとって理想的な在り方と言えるかも知れません。
みんなとどうしても違ってしまう自分の存在を、平凡な装いで隠すのでも、過剰な賞賛で塗りたくるのでもなく。
ただそういうものとして受け止め、息をするように自然に打ち出していく。今週のみずがめ座もまた、そんな‟ちょうどいい落としどころ”を模索していくタイミングにきているのだと言えるかも知れません。
みずがめ座の今週のキーワード
「自然と空気が漏れだすような」