みずがめ座
海をつく
こちらは6月14日週の占いです。6月21日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
蒼海の響き
今週のみずがめ座は、「五月雨や蒼海をつく濁り水」(与謝蕪村)という句のごとし。あるいは、ふだんの日常生活からは隠れてしまっているリアリティをこそ感じていこうとするような星回り。
この句は三つの領域から成り立っています。まず「雨」、次に「濁り水」、そして「海」。
そしてこの背後には、それら三つの領域を循環させる森林があります。この循環を通して、人間を含むあらゆる生命が育まれ、つながって生きている。ただ、現実においては汚れや塵を含んだ酸性雨が降っていて、汚れが森林から川へ、川から海へと流れ、生命のつないできた循環システムは壊れかかっています。
なぜこうなってしまったのか。掲句はそのヒントを投げかけてくれているように思います。それは、特に「蒼海をつく」という言い方です。「つく」と言っても、これは突き刺したり攻撃することではありません。衝突や意気衝天といった言葉があるように、そこでいったん何かが「尽きる」ということであり、鐘を「衝く」ように「濁り水」を衝くことで、何かが鳴り響いているということ。
おそらく、この場合の「濁り水」とは「既知なるもの」として人生や、その穢れのことであり、蒼海のもとで鳴り響いているのは「未知なるもの」なのではないでしょうか。
18日にやぎ座から数えて「滅びと結び」を意味する8番目のおとめ座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、たとえすぐにはそうした響きを聴くことができなかったとしても、少なくともそれを待つことの大切さを痛感していくべし。
自分たちなりの海をもつこと
この三つの循環は、①書き手 ②本や記事 ③読み手のような場合の循環にも当てはまります。
例えば、何か深い内容をたたえた書物をかける書き手がいたとしても、それを読んでくれる読み手がいなければ本はただのゴミで、書き手と読み手は密接な関わりを持っている訳です。そして、この三つの循環をうまく循環させていくためには、三つのいずれかが突出し過ぎないよう、それぞれの要素をよく溶かしていくことが大切です。
身体を過度に酷使すれば疲労で動きが鈍り、濁っていくように、雨が降れば濁り水が怒涛のように流れていき、それは「海なるもの」のうちで溶けあい、浄化されていくのです。
これは人間関係においても同じで、どんなに仲が良くても、100%合うことなどありませんから、必ず時が経てば濁っていく。それでも、自分と相手のあいだに「海=未知なるもの」がある限りは、そこで清らかさを保って、新鮮な気持ちに戻っていくことができる。
では、「海」とは何か。それは子供であったり、ペットであったり、音楽であったりするかも知れません。そういう、定期的に自分たちを無化してくれるもの、初心に戻らせてくれるものを、今週のみずがめ座は再発見してみるといいでしょう。
みずがめ座の今週のキーワード
森・川・海のトライアングル