みずがめ座
訪れと出逢い
文芸上の真
今週のみずがめ座は、「野の虹と春田の虹と空に合ふ」(水原秋桜子)という句のごとし。あるいは、最良の“合わせ技”を探究していくような星回り。
円弧を描いて大空をまたぐ虹をよく見れば、一方は野原にあり、もう一方は春の田んぼにある。作者はそんな虹の姿を、野原からのぼる虹と、田んぼからのぼる虹が大空で邂逅しているように捉えているのです。
作者は論文「自然の真と文芸上の真」を書き、「客観写生」を掲げる俳句の当時最大結社であったホトトギスを離脱し、みずから「馬酔木」を創刊し、俳壇に新風を吹き込んだのでした。
「自然を尊びつつもなお自己の心に愛着をもつ」という作者にとって、外界の自然のありのままの姿と同様、それらを美しいと感じ、またついそうであるかも知れないビジョンをを想像してしまう人間の心もまた愛すべき自然だったのでしょう。すなわち、そうして自然と自己とが見事に溶けあう様子こそ、追求すべき「文芸上の真」に他ならないと考えた訳です。
20日にみずがめ座から数えて「コラボレーション」を意味する7番目のしし座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、感覚的にぴたりと来るような言葉や相手を見出していくことがテーマとなっていくでしょう。
神の二つの型
日本の神々というのは主に二つの型が結びつくことから成り立っていて、ひとつは人間世界の中心部に鎮座していて、大きな神社のご神木や鎮守の森のように、共同体の価値を守り秩序を維持する働きをしています。
そしてもう一つの型が、人間世界の外側からやってきては、手垢のついた価値体系に組み込まれていない非人間領域の力を内部に運び込んでくる役目を担っています。
この二つ目の型の神は、ひとつ目の型の神のようにどこかに常住することがなく、時を定めて出現し、役目を終えると人間世界の外に去って行ったのだと言います。こうした神々はしばしば異形の姿で象られ、「鬼」とも呼ばれてきました。
その意味で、掲句において田んぼからあがる虹と合わさるように詠まれた「野の虹」もまた来訪神であり、鬼のごとき現われの一種だったのでしょう。
その意味で、今週のみずがめ座もまた、世間の常識や古い価値観の埒外にある存在をどう取り入れていけるかが問われていくかも知れません。
今週のキーワード
異質な力を取り入れる