みずがめ座
花いろいろ
すみれの花
今週のみずがめ座は、「鼻紙の間(あい)にしほるゝすみれかな」(斯波園女)という句のごとし。あるいは、可憐と豪放のあいだに立ってぶらぶらと歩いていくような星回り。
一読してすぐに、何とも可愛らしい印象を与えてくれる句。野辺のすみれの花を大事に挟んでおいたのだ、鼻紙のあいだに。
そのこと事態を忘れていて、何かの表紙に鼻紙の存在に気付いて、そっと開いてみると、すっかり萎れている。少年少女だった自分をどこか置き去りにして生きている大人たちを詠んだようであり、逆にいつまで経っても若かりし頃の残滓を捨てきれない人間のサガを詠んでいるようでもあり。そう思うと、句を見る目も変わってくるはず。
作者は江戸時代前期の女流俳人で、芭蕉の門下。いかにも女性らしい可憐な人であったかと言うと、どうもむしろ豪放な人柄だったそう。
だからこその鼻紙なのかと納得しつつも、いやいややはりどこかに繊細さを捨てきれない人物だったからこそ俳句などやっていたのではないかと、勘繰り出すと止まらなくなる。これもまた人間だろう。
21日深夜にみずがめ座から数えて「健全化」を意味する6番目のかに座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、自分のなかで矛盾しあうどちらの面にもしっかりと軸足を置き直していくべし。
蓮の花
生の裏に死があるように、死の裏に生がある。それは例えば夜の闇がまだ溶けきらずに残っている朝方に、乱反射し始めた光を浴びて開きゆく蓮の花の姿であり、同時にそれは今週のあなたの姿でもあるように思います。
新月が種まきのタイミングだとすれば、上弦の月は殻破りと根狩りのタイミング。暗い土中でどこか殻に閉じこもっていた心が、危機感とともにいよいよ世界を切り開き、自分の足で太陽に向かって立ち上がっていこうと強い意志を発動させていくのです。
そしてそれは一定不変の「物」の世界(時間外存在)から、始まりと終わりがあり、絶えざる変化の最中にある「事」の世界へと躍り出ていくこと(時間内存在)でもあります。
今週のみずがめ座もまた、矛盾が生じることを恐れずに、いつかはやらねばと思っていたことを思いきって始めてみるといいでしょう。
今週のキーワード
花のように生き切っていく