みずがめ座
精神的な生き方
ルソーの「実行」
今週のみずがめ座は、ルソーの「半隠遁」のごとし。あるいは、何をすべきではないかをこそ大いに考え決断していこうとするような星回り。
フランス革命に多大な影響を与えた思想家ルソーは、40歳を過ぎたことからいわば「半隠遁」とも言える生活に突入しましたが、彼自身その晩年に次のように書いています。
「青年の頃から、私はこの四十歳の時期を成功への努力の終点と決め、どんな種類のことにせよ、自分の望むことのできる限界と決めていた。この年齢になったら、そのときどんな境涯にあったとしても、そこから脱け出そうとじたばたするようなことはしないで、それからは行く末のことを心配せずに、その日その日を暮らしてゆこうと固く心に決めていた。ついにその時は来て、私はなんの苦痛も感じないで、この計画を実行に移した。」(『孤独な散歩者の夢想』)
ルソーの「実行」とは、秘書の仕事を辞し、楽譜の清書の仕事を頼りに生きていくことにしたということ。彼はもともと定職について結婚し子供を育てるといった市民生活には不向きな人間でしたが、『孤独な散歩者の夢想』では世間はなんとわずわらしいものか、自分がいかに理不尽な仕打ちにあったか、自然とはなんと素晴らしいものかなど、淡々としかし怨みをこめて語っているのです。
6日にみずがめ座から数えて「逸脱」を意味する9番目のてんびん座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、どうしたらもっと自分を宙ぶらりんにできるか、その可能性を探ってみるといいでしょう。
地図の刷新
周囲といさかいを起こさず、そっと世間から脱け出していくためには、自分の限界や悪癖をきちんと認識していくことが何より大切ですが、その意味で、「世界の中心としての自分自身」という視点がどうしても欠けがちです。
いつも自分のことを後回しにして冷静に周囲を観察して傍観者に徹していけるのは確かにみずがめ座の美点ですが、ときに「自分が中心になってみずから事を起こす」という普段の自分とは真逆の役回りをこなしていく中でこそ分かることもあるのだという視点を、今週はいつもより少しだけ強く意識してみてください。
うまくいけば、そう遠くないうち、地図の洋上に新しい島が書き加えられるように、あなたは自分の生きている世界がにわかに書き換わりつつあることに気がついていくはず。
精神の逸脱というのは、そうしてたえず地図を刷新していくことにこそ、その鍵があるのではないでしょうか。
今週のキーワード
もっと自分を宙ぶらりんに