みずがめ座
家路を照らす
親鳥の心持ち
今週のみずがめ座は、「銀河うすき東京に来てまた住むなる」(篠原梵)という句のごとし。あるいは、ひとつの可能性の最初の展開を見届けていくような星回り。
一読して、無理がない句であるように思われる。無理がないところには安らぎがある。その安らぎの中で俳句が生きている感じがするのだ。
俳句もまた表現である以上、どうしたって何か表面的な奇抜さや烈しさ、華のようなものがなければいけないような気がして来るし、実際そういう表現が用いられたものの方が反響もかえってきやすい。
作者が意図的にそうしなかったのか、それともそうできなかった事情があったのか、そういう資質なのかは定かではないけれど、真の充実というのは表面より内面に蓄えられるものであり、年齢もまたそれを求める。
「銀河うすき東京」を改めて見出し、そこに住む自分を肯定する。個人的にはそれは諦めというよりも、やはりそういう充実の仕方なのではないかと感じるが、どうだろうか。
23日にみずがめ座から数えて「安らぎ」を意味する4番目のおうし座で、新月を迎えていく今週のあなたもまた、卵から雛をかえす親鳥の心持ちでそうした充実を心中に育てていきたいところ。
犬に引かれて
あたりが暗くなってきた夕暮れ時にパッと道を照らしてくれる街灯にホッと安心感を覚えたことは誰しも経験があるだろう。
あるいは、あなたが握ったリードをグイと引いてくれる犬。そういう犬というのは、人間のエゴイズムをすべて受けいれ、ときどき主人の手に噛みつきながらも、夕暮れ時になれば「帰ろうか」と促してくれる自然なやさしさを持ち合わせている。
生きているかぎり、人は目に見えない首輪をはずすことなどできず、つながれた場所へと帰っていく他ないのだ。そういう悲しさと滑稽さのない混ぜになった感情というのは、人を迷わせもすれば成熟させもする。つまり、その人を試す試金石になるのだと思う。
今週は、ささやかな楽しみや小さな幸福を求め、それを照らしてくれる「帰り道」を見つけたら、まっすぐに歩を進めていくこと。
心中で充実を育てていく際には、そういう一歩を踏み間違えないことが肝要だろう。
今週のキーワード
無理のないところで生きていく