みずがめ座
潤んだ闇に写るもの
春の闇
今週のみずがめ座は、「春の闇この世のほかの花見ゆる」(渡邊千枝子)という句のごとし。あるいは、頭の中の概念が絵になって目の前を泳いでいくような星回り。
「春の闇」とは月の出ていない春の夜の闇をいう。湿り気を帯び、どこか潤んだような闇のそこここに、たしかな春の息吹が感じられる。
そこには地上を華やかな色に染め上げる樹上の花とは異なる、「ほかの花」が自然と目の前に浮かんでくるという。
「見ゆ」とは上代の受動態にその起源をもつ言葉であり、ただ物理的にものを見ているのではなく、意図的に見ようとしていなくても、ひとつのビジョンとして脳裏に映像が直接映し出されていく。
それは思い人の晴れ晴れとした笑顔であろうか。それとも、何気なく使ってきた言葉のひとつひとつがまるで一つの巨大な生き物のようになって群遊する姿だろうか。
2月24日(月)にみずがめ座から数えて「肚落ち」を意味する一つ先のサインであるうお座で新月を迎えていく今週のあなたは、頭ではなく身体のレベルで新たな現実をインストールしていくことになるはずだ。
置き去りにした自分が追いついてくる時
「見ゆ」という言葉の対象は、視覚的に「見る」ものと比べ、ずっと大きなものとして眼前に迫ってきやすいところがある。
自然はみな、広大な無意識領域においてその真の姿をあらわすからこそ、人はその巨大さに思わず圧倒されつつ、自分の中にもまた彼らと同じような霊的働きが湧いているのを感じるのかも知れない。
それは自分が強固なエゴを持ち、社会の中で認められたいという承認欲求を持った人間であることを一瞬でも忘れ、より古層の存在感覚を思い出す瞬間でもあるはず。
今週は、そんな目に見えぬはずのものが見えてきたり、そこで自身の中で何らかの地殻変動が起きつつあるのを実感していくだろう。
今週のキーワード
「ほかの花」