みずがめ座
カオスを抱え込む
秩序と無秩序のはざまで
今週のみずがめ座は、「隙間風その数条を熟知せり」(相生垣瓜人)という句のごとし。あるいは、自分が取り組むべき問題の問題性を身近なところで痛感していくような星回り。
元来、紙と木材で家を建ててきた日本人にとって、戸や障子や壁のすきまから吹き込んでくる隙間風はじつに身近なものでした。
とはいえ、そうした貧乏くさい素材である目に見えない隙間風を、まるで「モノ」のごとく捉えた上で、「数条」や「熟知」など格調高い漢語と組み合わせてズレを引き立てているところなどは、滑稽味のあるユーモアを感じさせます。
ありふれたものとして意識下に沈んでしまった“問題”は、こうして感覚的に異化させていくことを通して、はじめて自分事として受け止め、習熟していくことができる。そういうことを説教臭くならない仕方でそっと示してくれるのも、俳句の楽しみと言えるかも知れません。
2月2日(日)にみずがめ座から数えて「慣れ親しんだ居場所」を意味する4番目のおうし座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、普遍的でスケールの大きな問題をあえて身近で些細な日常から改めて考え直してみることが一つのテーマとなっていきそうです。
周縁から立ちあがる
例えば、芸術が芸術たりえるのは、立ち位置を周縁へと動かしたり、少し角度を変えていくからではないでしょうか。
それを資格や制度や権力のど真ん中に収まって喜んだり争ったりしているようでは豊かなものはまったくもってできあがってきませんし、そこに集う個人も、次第に自由な個ではなくなっていってしまいます。
人類の共同体内には太古の昔から存在してきた「結社」というものが存在し、そこで既存の秩序やルールを大きく逸脱した異常な働きを取りこんで、束の間のあいだ公に姿を現わすことで自分と世界に他に類のない豊かさをもたらしてきましたが、その構成員はほんの二、三人でもいいんです。
そこで商売をするのであれ、自然への回帰を目指すのであれ、共に過ごしていく中で、生きる力を高めていけるかどうかが大切で、それこそが結社の命でした。
今週のあなたは、端的に感動すること、愛すること、そして身ぶるいするために、どこに身を置き、誰と関わり、何にリソースを割いていくべきかを熟慮していってください。
今週のキーワード
「過剰なるもの」の一部となる