みずがめ座
稲妻と炎
稲妻が走るように
今週のみずがめ座は、「芭蕉去てそののちいまだ年くれず」(与謝蕪村)という句のごとし。あるいは、時代を超えて感じ掴める経験をなぞっていこうとするような星回り。
これは作者・蕪村(ぶそん)の晩年の作ですが、蕪村は彼が生涯の師と仰いだ芭蕉(ばしょう)の没後23年たった後の生まれであり、直接会ったことはありません。
それでも、蕪村は芭蕉の死後、新年を迎えていないと言うのです。これはどういうことか。
それは、慌ただしい日々の中で心身が疲れて錆びついてしまっているようでも、芭蕉や他の優れた先人たちに(表現はそれぞれに違えど)共通して貫かれてきたものと接続されていられれば、精神は廃れることなく新鮮なままであり続けることができるという確信が彼にはあったのです。
2019年から2020年へと移っていく時間を‟水平的・横の時間”とするなら、この芭蕉から蕪村へと伝わっていく電気は‟垂直的・縦の時間”と言えるでしょう。そしてその時間は、そこにあるのだけれど、そこにはないんです。
今週のみずがめ座のあなたもまた、自分の人生を貫いていく真実のようなものに、何かを感じて心を澄み渡らせていくことができるのではないでしょうか。
命をつなぐ炎
主にキリスト教の伝道と医療活動およびその平和活動を通して「20世紀のヒューマニスト」として知られたシュバイツァー博士は、著書の中で次のように述べています。
「誰の人生にも、あるとき、内なる炎が消えるときがやってくる。そして消えた炎は、別の人間との出会いによって、また突然燃え上がる。わたしたちは皆、精神をよみがえらせてくれる人々に、感謝するべきです。」
おそらく、蕪村にとって最大の別の人間との出会いとなったのが芭蕉であり、その俳句こそ、精神をよみがえらせる薪木だったのでしょう。
そういう意味では、私たちは私たちの内側にある炎をよみがえらさせてくれるであろう別の炎へ向かって、その都度その都度向かっているのだとも言えますね。
今週のキーワード
つらぬく道はひとつなり