みずがめ座
人生の脱構築
転換点としての危機
今週のみずがめ座は、さながらオランダ渡りの解剖学書『解体新書』のごとし。あるいは、これから自分が解体すべきものを見据え始めていくような星回り。
通称は『ターヘル・アナトミア』。1773年に刊行された西洋の医学書を日本語で初めて紹介した意欲的試みの労作であり、同時にそれは医学を超えて日本が西洋の文明との落差に気が付いてしまった大事件であり、ひとつの危機でもありました。
それ以降、日本及びその支配層は「科学技術」こそが自分たちを豊かにしてくれるものと信じて疑わず、そのまま「富国強兵」「殖産興業」の道を突き進んできた訳ですが、それは当時の人たちにとって、これまで自分たちがその上に安住してきたシステムや体制をみずから壊して再建していくことでもあったのです。
その意味で、12月3日の木星やぎ座入りに続き、12月26日(木)のやぎ座での日食新月をもって、みずがめ座の人たちもまた『解体新書』の刊行を受けた当時の日本に近い目覚めを促されていくでしょう。
これまでのなんとなく抱いていた違和感や、これではいけないというそこはかとない思いが、具体的な輪郭をもって浮き彫りになってくることもあるかも知れません。
くれぐれも、短期的に解決しようとしたり、ごまかして無視することのないよう、今週は心して過ごしていくべし。
辞書は脇に置こう
長い人生、生きていればどこかで必ずこれまでのやり方に限界が来て、頭打ちになっていくものですが、まさにあなたはそんな時期の前触れを経験しつつあるのかも知れません。
例えば、あなたが辞書を手に持っていて、千ページにも及ぶそれをいかに捲ろうとも、昨夜見た夢の甘美を表す言葉を見つけることができかったとしたら、あなたはどう語り、どう記そうとするでしょうか。
少なくとも、まだ完全な辞書も先行文献もなかった状態で、ほとんど暗号を読み解くかのように『ターヘル・アナトミア』を翻訳していった『解体新書』の作者たちは、潔く既存の知識を脇に置いたのです。
もちろん、これまで頼りにしてきた参照先を、今後めくり返すときもあるかも知れません。けれど、思い切って辞書を床において、一歩前へ進んでみることでしか何も語れないときもあるはずです。
今週は、いざとなれば後ろ向きに背中から飛び込んでいくぐらいのつもりで事態に臨んでいきたいところです。
今週のキーワード
甘美なる違和感