みずがめ座
今宵の月のように
政治戦略としての曖昧さ
今週のみずがめ座は、「犬も月を月だとおもい不思議かな」(田島健一)という句のごとし。あるいは、人知れず誰かを支えていくような星回り。
犬を散歩している途中、ふと見上げた空にまん丸の月があらわれて、思わず立ち止まってしばらくぼーっと見ていた。それから犬のことを思い出して横を見たら、なんだか犬まで月に心を奪われたような表情をしていた。
掲句に詠まれたのは、そんな日常の一コマなのかもしれません。
ただ、いずれにせよ、月というのは、心を持つものにとって特別な存在であると同時に、分かりやすい言葉でその恩恵を表すことのできない曖昧な存在でもあるように思います。
それはもしかしたら、‟あからさまな影響や恩恵”というものが、時に受け取り手のなかで心理的負担や感情的軋轢を生み出しかねないということを熟知した上での、ある種の政治戦略なのかもしれませんね。
いずれにせよ、そうした自分という存在のあらわし方をめぐる気遣いというものは、今週のみずがめ座にとっても大切なテーマとなっていきそうです。
16日(金)にみずがめ座で満月を迎えていく今週は、おのずと注目を集めやすいタイミングとなっていくはず。
その際、さながら自分自身がお月様になったつもりで過ごしてみるとちょうどいいかもしれません(間違っても太陽にならないよう)。
傲慢さへの自覚
例えば「陶片追放(オストラシズム)」と呼ばれる古代ギリシャの制度は、最高指導者を追放する制度として存在しましたが、それは人間である以上どんなに優れた人物であれ、権威を得たり権力を持つことで「傲慢さ」に陥ってしまうものと考えられたから。
いわば、それこそがギリシャ人たちの知恵の結晶でもあった訳ですが、これもまた先のお月様の政治戦略に通底するものと言えるでしょう。
それほどに、人間の業は深い。どうしたって、ちょっとしたはずみで傲慢になってしまうことがある。それはもう、そういうものであると諦めるしかない。
同時に、そういう諦めがあるからこそ、周りの意見をよく聞いて相手を立てたり、その人の元でたくさんの人がのびのびと育っていくということもまた起こりえるのだと思います。
今週はある意味で、そうした先人の知恵を改めて思い出していくのにも絶好の機会となっていきそうです。
今週のキーワード
アンチ「自己プロデュース」