みずがめ座
良薬となるべし
気付けの一粒
今週のみずがめ座は、さながら『西洋の没落』を書いたシュペングラーのごとし。すなわち、他の誰よりも「警告者」たらんとするような星回り。
「われわれは、この時代に生まれたのであり、そしてわれわれに定められているこの終局への道を勇敢に歩まなければならない。この以外に道はない。希望がなくても、救いがなくても、絶望的な持ち場で頑張り通すのが義務なのだ。」
この激熱な一文は、今からおよそ100年の1918年ころ、つまり第一次世界大戦末期にドイツで出版された『西洋の没落』という歴史書の体裁をとった予言書からの引用。
敗戦に打ちひしがれたドイツ人の心情に強く訴えかけるものがあったのか、飛ぶように売れて瞬く間に数十版を重ねる一大ベストセラーになりました。
興味深いのは、その本の中に書かれた内容が、安易にナショナリズムを高揚させるようなものではなく、むしろその真逆であるという点。
西洋文明において共有されていた、「ギリシャ・ローマ→中世→近代」という直線的かつ単線的な進歩史観を真っ向から否定してみせたのです。
単に悲観に諦めに走るのは簡単ですが(あるいはその反動としての八つ当たり)、彼のように、まず社会がほとんど無意識のうちに前提としている考えを徹底して懐疑し、執拗に批判しそれを公けにするだけの精神力は、今週のみずがめ座にとってもよき指針となるでしょう。
目覚めの一杯
往々にして私たちは、自分が何を経験しているのかまったく分かっていないものです。それどころか人生を酩酊しながら疾走し、ときおり階段から転げ落ち、それでも酩酊しているおかげで、自分のケガの具合に無頓着であったりする。
筋肉は弛緩し、頭脳は朦朧。もし酔っ払いが互いに衝突することにでもなったら、おそらく溶けてスライムのようになってしまうでしょう。おそらく階段の小さな石でさえ、酔っ払いに致命傷を与えるには十分かもしれません。
その意味で、現実というのはずっと危険なものであり、そのことを私たちはすぐに忘れたがる。
今週のあなたの役割は、そんな酔っ払いに目覚めの水を飲ませてあげることなのだと言えるでしょう。
今週のキーワード
良薬は口に苦し