みずがめ座
“私”などなくても旅は続く
雨降って地固まる
今週のみずがめ座の星回りは、「雨降って地固まる」を地で行くよう。
そしてここには同時に、地震や洪水などいったんは不可抗力的な形で失ったこれまでの家とはまったく異なる、「あたらしい家を建てていく」という、2017年のみずがめ座のテーマが二重に書き込まれています。
まだ未熟な頭で必死に考えついた仮定であれ、尊大な独裁者の理論であれ、古びた知識の袋には穴が開けられる。
あなたがこれまで重ねてきた実体験に基づく現実的な叡智を、自分や周囲の現実へほどこしていくタイミングが、今ようやくやってきたのです。
そしてその首尾は、あなたが人が人として存在することに固有の困難さをどこまで深く受け止めているかどうかで、ある程度決まってくるでしょう。
人がひとり生きていくには、強さや合理性、スキルや地位など多くのものが必要ですが、往々にしてそれらはバラバラなまま有機的に結びついていない状態にあります。
ここにこそ人間の悩みの根本があるとも言えるのですが、今あなたはそれらを弱さやはかなさといった一般的には欠陥・弱点とされるもので繋いでいくことで、一つの全体としてまとめあげ、別の生き物に作りかえていこうとしているのだ。と、そんなふうに言うことができると思います。
文章は主語と述語でできている
欠陥や弱点、それらが生む悲劇や喜劇を理解していくために、カール・ユングは自分の無意識の深い層から働きかけてくる「元型」を探しなさいと言い、整体の野口晴哉は自分の立ち居振る舞いや習慣の中に現れている「体癖」を見出せといい、一方で瞑想指導者や森田療法の実践家は「あるがまま」がいいと言う。
いろんな人がいろんなことを言うせいで、それらをいちいち真に受けてしまうあなたはますます混乱し、疲弊してしまうのでしょうね。
もしあなたがそういう状況であるとするなら、いっそのこと、「“私”という主語など最初からなかったのだ」、と思ってみるのはどうでしょうか。
もちろん、それはヤケッパチになって自滅に走れということではないんです。生活のため、“私”を守るため、何かを「持つ」のをやめてしまおう、「もともと自分には何も無い、ずっと裸一貫なのだから」と思い出そう、ということです。
さらに、今後ますますダメになる想定もしましょう、危機管理やリスクヘッジもしましょう、でもその根本では、やはり人生は“私”を無くしていく旅なのです。
そっちの方へ転がっていけると、今年はずっとラクに過ごせるかも知れませんよ。
今週のキーワード
雨降って地固まる、欠陥・弱点でつなぐ、“私”という主語など最初からなかった、「あたらしい家を建てていく」(2017年)