みずがめ座
生きる世界を切り替える
カメラの喩え
今週のみずがめ座は「風花や風景あをく遠ざかる」(村上鞆彦)という句のごとし。あるいは、フォーカスする対象が切り替わることで、別の世界に彷徨いこんでいくような星回り。
俳句の世界では、冬の空をちらちらと舞っている雪片のことを「風花」と言うのだと知ったとき、思わずなんて世界を知ってしまったんだと驚愕したものですが、実際この言葉を知ってから雪を見かけると「あ、風花だ。これが、風花、なん・だね……」とついつい目で追う時間が長くなってきたように思います。
この句は、それまでなんとなく景色全体をぼんやり捉えていた人が、手前を舞う風花にピントを合わせて絞った結果、奥の景色がどこか遠い異界のように離れていった様子を独特の詩情で描いている。
でも、「風花」に限らずこれと同じようなことって結構起きているんじゃないかな、と。一つの言葉を知ることで、あるいは思いがけず手応えを感じた誰かと出会うことで、時に世界の見え方は180度変わってしまうことだってある。
そういう出会いというのは、さながら風花のようにそれ自体がギフトなんじゃないかと思ったりする訳です。
いて座で新月を迎えていく今週のみずがめ座にとっても、さらっと受け流してしまえばすぐに忘れてしまうような些細な出会いを、雪の結晶を壊さぬように繊細に受け止めていくことがテーマとなっていくでしょう。
サーフィンの喩え
例えば「阿吽の呼吸」というように、ちょうどいいタイミングでコンタクトがあったり、メッセージをくれた相手に、いつもより少しだけ大きく自分を開いてみせることで、何か心地のいい風が自分の中を通っていくでしょう。
ただし、相手につられすぎて「これまで体験したことのないようなことができそう!」と歩みが大股になっていけば、何てことのないきっかけでバランスを崩し、一気に気力が挫けてしまいかねません。
沼のような自意識を振り切るための「抜き足」の感覚が必要なのです。
今週は、静かに波を待つサーファーのように、じっと流れや潮目が切り替わるきっかけを待ちつつも、時おりスッと足を戻して、自分なりの自然なバランスへ近づけていく感覚を大切にしてください。
今週のキーワード
「風花」という季語