みずがめ座
人間からの離陸
青色の風
今週のみずがめ座を表すとすれば、それは「離陸の美学」。すなわち、酒場の椅子に坐って一歩も動くことも走ることもなく、宇宙の星雲をかきわけ、思考の飛行船を成層圏外へと飛ばしていくような星回り。
例えば普段通り仕事場について、自分のデスクに坐って何でもないように机に向かっていたとしても、その頭蓋の内側にはいつもとは別の宇宙電波がとりまいて青色の風が吹いていくでしょう。
それくらい今週はいわゆる「別世界」への飛翔願望が高まっていくタイミングと言えるかもしれません。
世の大半の人は、周りに言われるままに一生懸命に自分を捨て、結局は‟平凡な大人”としての自分を受け入れざるを得ないのだと管を巻いたり嘆息したりするものですが。
今週のあなたはそうする代わりに、自分のなかの永遠なる少年癖や少女癖をこれでもかと解き放っていきたいものです。
自分の外に出ていくということ
人生を「制御する」という行為は、それがどんなに建設的なものであれ、現実の1本1本の線が未来に向かって徐々に像を結んで確立していくプロセスに外なりません。
どんなにデタラメに描いたつもりでも、そこには完成図への意図が働いてしまう。それの何が問題かというと、結果的に面白いものがぜんぜん出来上がってこないのです。
ありがちなエンディングへの着地が見えてしまった瞬間に、見ていた映画に白けてしまうように、どこかで見たことのある型にはまった月並みさが自分の人生にもついて回ってくる。
そういう時は、右手から左手に絵筆を持ち変えてみるのも手かもしれません。
すなわち、頭脳から胃腸へ、帰納から演繹へ。あるいはやはり、林翔が「鷹が眼を見張る山河の透き通る」という句で鷹そのものになりきったように、今ここにいる自分の外に出て行って、鳥になったり、動物になったり、死者になったつもりになりきる。
そういう風にして見えてくる光景が多少なりとも現実や日常において反映されるようになってきたとき、あなたはまた一段と美しい生きものになってゆけるでしょう。
今週のキーワード
永遠なる少年癖