おうし座
夢の裏側で泳ぐ
大胆な予祝をかけていく
5月17日以降「飛躍と発展」の木星が自分自身の星座に巡ってきているおうし座にとって、2023年上半期が自分なりの人生計画を人前でスピーチできるくらいの完成度まで高めたり、語るべき言葉のおのずからの熟成を待っていた期間だったとすれば、2023年の下半期はいよいよ練り上げてきた計画を実現に移していくスタートダッシュ期。
特に木星が逆行を始める9月4日までは、なんとなく予感される近い未来の状況や需要を見越して先取りしたり、実際にその布石を打っていく期間と言えるでしょう。
例えば、日本の村落共同体では、伝統的に豊作や多産を祈願する呪術行事として「予祝」が行われてきました。例えば、農耕の予祝であれば、田植えから刈り入れまでのすべての農作業をお祭りの催しとしてひと通りやってみせる。文字踊り、「予め、実際の行為を先取りしてマネごとをやってしまう」ことで、そこに自分の意識や身体を放り込み、一つひとつの行為や連係の精度をあげたり、細かい調整をしやすくしておくわけです。
すると、実際に行為をする段になってみると、一から考えてやるというより、もう出来上がった作品に、後からちょいちょい手を入れていくような感覚で気楽にやれてしまう。「一年の計は元旦にあり」という言葉を拝借して言えば、2024年5月下旬までの約1年の計は2023年の真夏にあり、ということになりますし、秋以降は仮に描いた“下絵”を怠ることなくきちんと作品にしあげていく必要がある。
当然、そこでは下絵どおりに進まないということも出てくるはずですが、それはそれでOK。むしろ、下絵という縛りがなければ、かえって自由にできないものですし、結果的に何もできなかったということになりかねない。その意味でも、2023年下半期のおうし座はどれだけ大胆に予め「私はこうなる」と断定していけるかを心がけていくべし。
2023年下半期:おうし座の各月の運勢
7月「バイブスあげてこ!」
7月2日に前後して、おうし座の守護星で「センス」を司る金星と、「パンク精神」を象徴する天王星とが、烈しく揺さぶりあっていきます(90度)。ここでは普段はわりと穏やかな常識人的なイメージを抱かれやすいおうし座の変人ぶり、風変わりさがいかんなく炸裂していきやすいでしょう。
おうし座というのは、究極的に周囲にどう思われようがどうでもよくて、自分のやっていることが気持ちいいか、直接的に感じられる中身の濃さがあるかが大事なんです。その意味で、この時期は、もともとの周囲に迎合しない性質が高まって、仕事であれ人付き合いであれ「あ、これ続けてても中身ないな」という気付きや心変わりが急激に起こりやすかったり、自分のバイブレーションをあげてくれるような相手にも自然と惹きつけられやすいはず。
8月「うっかりで弾みをつける」
8月22日前後には、おうし座の守護星で「快楽」を司る金星と、「拡張拡大」の木星とがやはり激しく揺さぶりあっていきます(90度)。これはいわゆる無駄遣いや浪費につながりやすい配置の典型であり、自分へのご褒美にちょっと贅沢を、くらいのつもりで買い物に行ったら、かなりの高額アクセサリーをうっかり買ってしまったみたいな感じです。なので、普通なら財布の紐を固く締めておきましょう、みたいな話で終わりがちなんですが、今期のおうし座であれば、むしろそんな星の配置を逆に利用してみるのも手でしょう。
つまり、「大胆な予祝」のつもりで、これまでだったら自分に見合わない、と思うようなものを、先行投資のつもりで自分に与えてみる。そうして、運気に弾みをつけるのです。
9月「選挙スマイル発動中」
9月は15日あたりから翌月をまたぐまで、おうし座の守護星で「魅力」の金星と、「筋力」の火星がずーっと協力協働しあっていきます(60度)から、この時期は仕事に交流にといつも以上にアクティブになりやすかったり、結果的に外出や人前に出る機会が増えやすいでしょう。
特に、金星&火星はしし座とてんびん座という「火と風」の元素の組み合わせなので、普段の日常を飛び越えて、どんどん外へ外へと拡張しやすく、派手できらびやかな世界に足をのばしていきやすいはず。ある意味でアイドル性も増す時期なので、個人的な「選挙活動期間」だと思って、自分なりに楽しんでしまうといいでしょう。
10月「ここで自分を引き締め、目標の再設定を」
10月にはここまでの流れを一区切りするような配置を迎えていきます。10日に前後して、おうし座の守護星で「魅力や交流」を司る金星が、「課題や枠」を象徴する土星へ全力で取り組んでいこうとするのです(180度)。
下半期前半は日常や既存の枠から何かとはみ出していくような流れが続いていましたが、ここではそうした経験を踏まえた上で、改めて今後の中長期的な目標の再設定を行っていく流れに。この時期にどれくらい冷静かつシビアに自分を客観視できるか、そして具体的な計画に落とし込めるかが下半期の鍵を握っていきそうです。
11月「運気の奔流の最中へ」
11月3日に前後して、おうし座にある「飛躍と発展」を司る木星が、「活性化」の太陽と全力で向きあっていきます(180度)。これは極めて楽観的で、大胆な一手に出ていく配置です。とはいえ、自分で気力を振り絞ってギリギリの決断をするというよりも、何となく色々なところから頼まれごとや相談を引き受けていたら、後戻りができなくなって首が回らなくなるくらい忙しくなってしまった、なんて流れになりやすいはず。
ここで木星のゆるさや適当さが良い方に転ぶか悪い方に転ぶかは、前月にどれだけ自分自身を「引き締め」られたかによるでしょう。
12月「堂々と、魅せていく」
12月10日に前後して、おうし座の守護星で「魅了」の星である金星と、「理念やビジョン」を表す木星とが一直線に結びついていきます(180度)。これはいわゆる「お披露目発表会」の配置であり、この時期はおのずからあなたの一挙手一投足に周囲や世間の注目が集まりやすいでしょう。あなた自身も、いつも以上に自分の声や影響を遠くに届けたくなったり、服装や態度などもパブリックな場仕様に着飾りたくなったりするはず。いっそそういうシチュエーションを存分に楽しんでいくべし。
2023年下半期:おうし座の「おすすめの文豪」
太宰治
戦後の無頼派作家の筆頭のような存在である太宰治は、最晩年の『人間失格』が代名詞的な作品となったために陶酔的で破滅型の印象が強いですが、むしろ戦中の体験に基づいて書かれた作品群の方にこそ、絶望の中での諧謔やユーモアともいうべき彼の作家としての真骨頂が表れているように思います。
例えば、終戦の前年に死を意識した太宰が故郷の津軽をたずねて、かつての使用人たちと出会う紀行文風小説の傑作『津軽』。その最後に昔の子守りのたけの横に坐って「平和とは、こんな気持の事を言ふのであらうか。もし、そうなら、私はこのとき、生まれて初めて心の平和を体験したと言ってもよい」と思う箇所などは、太宰文学のなかでも特別に清らかで美しい瞬間と言ってもよいでしょう。
あるいは、短編作品『ヴィヨンの妻』は稀代のクズ旦那とそれでも家庭をなんとか営もうとする妻の話ですが、そんな自称詩人で家に一切お金を入れない旦那が、ある日行きつけの飲み屋のお金を盗んだまま失踪してしまう。それで、たまらず家まで押しかけてきた経営者夫婦を妻は部屋に招いて、夫の犯した行状やこれまでの経緯を聞いていくのですが、その時のリアクションがまた凄い。
またもや、わけのわからぬ可笑しさがこみ上げて来まして、私は声を挙げて笑ってしまいました。おかみさんも、顔を赤くして少し笑いました。私は笑いがなかなかとまらず、ご亭主に悪いと思いましたが、なんだか奇妙に可笑しくて、いつまでも笑いつづけて涙が出て、夫の詩の中にある「文明の果の大笑い」というのは、こんな気持の事を言っているのかしらと、ふと考えました。
極めつけは、新聞に「にせ貴族」の「人非人(ひとでなし)」と悪口を書かれたと愚痴る旦那に対して、奥さんが次のように言う作品最後のシーンでしょう。
人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ
この時の、旦那の呆気にとられた顔が目に浮かぶようですが、願わくば、今期のおうし座も、この奥さんくらいの狂気とユーモアが絶妙にバランスした境地を目指していきたいところです。
まーささんが占うおうし座の下半期の恋愛運はこちら
SUGARさんが占うおうし座の今週の運勢はこちら
星乃せいこさんが占うおうし座の今月の運勢グラフはこちら