おひつじ座
多大なる困惑を超えて
とびきり魅力的で厄介な縁を拾いにいく
おひつじ座の人たちにとって「飛躍と発展」の星である木星が自分の星座と重なっていた2023年上半期が、良くも悪くも運気にパッと風穴が開いて、これまでとは調子が変わっていきやすい時期だったとすれば、2023年下半期はこれまでにない新たな人間関係との結びつきが生じたり、逆に関わるべき関係性の取捨選択を迫られたりなど、何かと「合縁奇縁」ということがテーマになっていきやすいでしょう。
かつて江戸の文人は「奇なくして趣なし」と言ったそうですが、少なくとも社会に飼い馴らされながらただ歳を取っていても、それは決して人を魅力的にはしません。色気、老獪(ろうかい)、軽み、憂愁、諧謔、落ち着き、快活、気まぐれさ―こうした人間の魅力というのは、どれも同時にやっかいなものであり、だからこそ魅力的なのだとも言えます。
ここで思い浮かべてもらいたいのは、管理の及ばない世界としての「河原」です。中世から江戸時代にかけて、河原には皮革業者や死体処理人、離農民に役者や遊女など、世間に居場所を追われた多様な人びとがそこに滞在し、毎日のように踊りや音曲や芝居の歓声が響いていました。現代であれば、猥雑な健康ランドや漫画喫茶が近いでしょうか。
「遊民」とも呼ばれた彼らは「河原」で体と魂の力を抜いて、理性の制止を振り切ってでもやらずにはいられないことや、スルーしたり無視したりできない存在のこと、河=境界線の向こう側の世界のことなどに思いを巡らせ、それによって世間におさまって暮らしている者にはない独特の魅力を得ていったのです。
その意味で今期のおひつじ座もまた、単に交友関係を広げていくというより、「河原」のような“こわい領域”へとみずから足を踏み入れ、遊民さながらに魅力的な他者の「奇」や「偏」や「狂」にじかに触れたり、深めるべき「縁」を結んでいけるかどうかが問われていきそうです。
2023年下半期:おひつじ座の各月の運勢
7月「精神的喜びが伴うチャレンジを」
7月19日を前後しておひつじ座の守護星で「遂行力」を司る火星が、「課題やハードル」を象徴する土星に向かって全力で取り組んでいこうとします(180度)。
この時期のあなたは、まるでよく訓練された軍人のように、じっと身を伏せて好機の到来を待ち、タイミングを捉えてターゲット対象を攻略し、着実に仕留めていくことができるはず。ただし、ここで言う「対象」とは、分かりやすい成果や物質的満足というより精神的な喜びであり、例えばそれは、人がやらない仕事を引き受けたり、無視されがちなものを尊重するなど、「陰徳を積む」ようなチャレンジであったりするでしょう。
8月「脱・文明&脱・日常の逃避行」
8月21日から23日にかけて、おひつじ座の守護星で「飛び出す力」を司る火星が、今度は「ユートピア」を象徴する海王星へ向かってがむしゃらに動いていきます(180度)。海王星は前月の焦点であった土星とは真逆な星であり、仕事で着実に任務を遂行していくような堅苦しい雰囲気から、遠い南の島へと逃避行へ出かけていくような夢見心地な雰囲気へと、ここでガラッと変わっていきそうです。
非日常的でアヤしい領域にみずから進んで足を踏み入れていきやすいので、どうせなら普段ならめったに経験できないような未知の世界や、できるだけ日常からかけ離れたぶっ飛んだ体験を追求してみるといいでしょう。逆に、普段通りに頑張ろうとしてしまうとかえって腑抜けのようになりかねないので要注意。
9月「陽キャごっこ」
9月24日から30日にかけて、おひつじ座の守護星であり「外へ飛び出す力」を司る火星と「内に受け止める力」を司る金星とが阿吽の呼吸で一致協力しあっていきます(60度)。
ここでは、さながらパートナーとダンスを踊っているかのように、あなたの人を惹きつける情動が盛り上がったり、刺激的な見せ場が出てきたりしやすいでしょう。結果的に、魅力的な相手との出会いに恵まれたり、和気あいあいとした交流が発展していきやすいはず。華やかに着飾ったり、一緒にレジャーを楽しんだりと、陽の気を取り込むようにすると◎
10月「魂のふれあいと癒し」
10月15日には日本からは見えないものの、金環日食が起こります。これはおひつじ座にとって「イコール・パートナーシップ」を意味する7番目のてんびん座で起こっており、純粋な意味での“魂のふれあい”を暗示しています。そのため、ここでは大人の男女の色ごと的な雰囲気とは一線を画した、自然でスピリチュアルなレベルでの繊細なラポールを形成したり、どこかイノセントで無邪気な時間を過ごすなかで癒やし癒されしていくことがテーマとなってくるはず。
できるだけ自然の中に身を置いたり、良質な文化的雰囲気が感じられる場所へ誰かと足を運んでみるといいでしょう。
11月「傾奇者(アウトサイダー)のつもりで」
11月12日に前後して、おひつじ座の守護星で「自己主張」を司る火星が、「革新」の天王星へと全力でぶつかっていこうとします(180度)。天王星というのは、社会が押しつけてくる秩序とか常識みたいなものを敵対視しますから、ここでは世間や業界に対してこれはおかしいと強く主張していったり、わざと慣例を破ってみせたりといった行動に出ていくことも十分にありえるでしょう。それだけ、天王星というのは他の星と比べ、群を抜いて「奇」や「偏」や「狂」へと向かっていきやすいのです。
この時期はいっそ「傾奇者」になったつもりで、いつも以上に内なる違和感や反発心に正直になっていくべし。
12月「だんだん複雑になっていく」
12月28日に前後して、おひつじ座の守護星で「闘争本能」を象徴する火星と、「意識の溶解と陶酔」を司る海王星とが烈しく互いを揺さぶりあっていきます(90度)。
おひつじ座の人たちというのは、良くも悪くも単純で裏表がなく、目標に向かってどストレートに進んでいこうとする傾向がありますが、ここではむしろ裏の顔やふだんの自分とは別のキャラが生まれたり、思いきり脇道や裏街道に逸れていったりしやすいでしょう。したがって、年末のこの時期は無理にちゃんとしようとするより、ここぞとばかりに羽目を外したり、無駄や誰得、意味不明状態を楽しんでいくつもりで過ごしていくくらいでちょうどよし。
2023年下半期:おひつじ座の「おすすめの文豪」
岡本かの子
一般に岡本太郎の母親として知られる彼女は、若い頃は歌人として活動し、やがて仏教、それも特に法華経の熱心な研究者となり、小説家としての活動に専念したのはパリから帰国後した晩年の数年間だけでしたが、それでも近代文学でも屈指の天才的な作家であったと思います。
夫や愛人との“奇妙な私生活”でも有名で、彼女の書いたものには男女の交錯劇を描いた作品も多いのですが、実際に読んでみると、彼女が求めていたのが見かけの華やかさや一時的な喝采などではなく、どうしたら「限られた命に対し、完全燃焼でもって死を迎え」られるかといった、あまりにも真摯かつ純粋な願いであったことが分かるはず。
若い男を囲うベテランの芸妓の秘かな願いを描いた『老妓抄』、男勝りの女性と温厚な画家志望の男性との恋愛を生命力のぶつかり合いや深まりとして迫った『花は勁し』、近代化していく時代において女性が自ら主体として生きる像を描いた『生々流転』、東京下町の鮨屋を舞台に常連客である壮年の男と若い看板娘との関わりを描いた『鮨』などは、「合縁奇縁」がテーマとなる今期のおひつじ座に特におすすめ。
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