おとめ座
泰然自若
火星と木星
今週のおとめ座は、ニーチェよりゲーテのふう。あるいは、誰かに勝とうと喧嘩腰になったりするよりも、人間として大きくあることに惹かれていくような星回り。
日本人はことにニーチェが好きで、すこし前にもニーチェの超訳が話題になってブームになりました。
彼の言葉は確かに、箴言の形式で考えを吐露してくれましたのでとっつきやすいように感じるけれども、ちょっと怖いところがあると言うか、本質のところで闘争的ですね。
占星術の言葉でいうと、自己主張と他者の否定の原理である「火星」が強いんです。
ただ、今回のおとめ座新月は、もう少し包み込むようにして社会や他者と向きあったり、幸福とは、人間とはといったこの世界をめぐる問いと対していくことがテーマになっている。
それは惑星でいうと、寛容と統合の原理である「木星」マターであり、ニーチェがファンだったゲーテのような、人間としての大きさを感じさせる人の言葉がよりふさわしい。
ニーチェではなく、ゲーテに親しみを感じる。
言ってしまえばそれだけのことですが、これは今週のおとめ座が指針とするべきことが、端的に表わされているように思います。
人として大きくなったつもりでいよう
「人は努力している間は迷うに決まっているものだ」
「精神の意志の力で成功しないような場合には、好機の到来を待つほかない」
「死を考えても、私は泰然自若としていられる。なぜなら、われわれの精神は、絶対に滅びることのない存在であり、永遠から永遠に向かってたえず活動していくものだとかたく確信しているからだ」
例えば上の3つのようなセンテンスの組み合わせは、ゲーテの言葉がいかに健康的かということを端的に表しているように思います。
それはある種の鈍感さとも言えるものですが、ゲーテというのは、どこか人間を自然の一部として大きな視点から見ているようなところがある。
だから読んでいると、自然と自分も大きくなったような気がしてくる。
でもそれでいいんです。人として小さくなった気がするより、ずっといい。
今週のキーワード
『ゲーテとの対話』