おうし座
健やかであり続けるために
子供の熱情
今週のおうし座は、「ふらここを漕ぐあのころの空がある」(今井宵子)という句のごとし。あるいは、風と緑と光とを全身に急襲して、潤いを取り戻していくような星回り。
「ふらここ」はブランコのこと。カタカナなので江戸明治以降に南蛮から入ってきた外来語のように思われがちですが、もとは中国北方地方の春の遊び。子供が無事に成長していくことを祈願する風習から来ているようです。
ゴールデンウイークと言っても、大人になると義務感や他人との比較の目が何かと邪魔をして、ただ羽を伸ばすだけの休日ではなくなってしまうもの。ですがおうし座の人に関しては、そんな風に過ごしてしまうのではもったいなさすぎます。
別に、どこかへ旅行へ行くわけでも、特別な行事へ参加するわけでなくてもいい。これからの1年を充実したものにするべく、あなたなりの仕方でみずからの健やかさを存分に感じ、「あのころの空」を胸いっぱいに吸い込んでいけばいい。
今週は、大人の事情よりも子供の熱情にこそ立ち返って、みずからの未来を占っていきましょう。
小利口な大人をやめる
ふつう人は、自分の人生が破綻することを不幸なことだと思っていますが、不幸と真実はコインの裏表のようなものだということも忘れてはなりません。
生が破れて、職業や名誉や家庭や財産など、何かしら喪失していった時にはじめて、この世のほんとうの姿をかいま見て、そこで人間とは何かということを少しだけ悟るのです。
ただし、せっかく人間に生まれながら、人間とは何かということを知らずに、人生を終えてしまう人間が世の九割である、といっても言いすぎではないでしょう。そういう小利口な人間になることを、日本人はいつから大人になるとか、成熟と呼ぶようになったのでしょうか。
小利口をやめるには、子供にならうのが1番です。子供にならって、喪失を経験していくとき、そこから本当の意味で人生は始まっていくのかもしれません。
今週のキーワード
ふらここ