おうし座
何に惹かれていくか
ある種の組み換え
今週のおうし座は、遠い太鼓に誘われて。あるいは、これまでとは異なる「音」が鳴っていることに気付いていくような星回り。
ある朝目が覚めて、ふと耳を澄ませると、何処か遠くから太鼓の音が聞こえてきた。ずっと遠くの場所から、ずっと遠くの時間から、その太鼓の音は響いてきた。とても微かに。そしてその音を聞いているうちに、僕はどうしても長い旅に出たくなったのだ。(『遠い太鼓』)
そう書いた村上春樹は40歳を前に日本を出て、3年間の異国生活へと踏み切り、その中で大ヒット作となった『ノルウェイの森』を書き上げ、作家として、いやひとりの人間として大きな転換を経ていきました。
おそらく、それは物理的な「音」というより、今いる自分とは別のレイヤーの現実からの誘いであり、あるいは自身の内部からむくむくと湧いてきた未知への衝動が「音」へと置き換わって経験されたものと考えられます。
それをただのノイズととって受け流してしまうか、これまでとは決定的に異なるの秩序への密かな共鳴なのだと気付くかは個人差と言うしかありませんが、村上の場合は、たまたま後者だったということなのではないでしょうか。
8月26日におうし座から数えて「身体性」を意味する2番目のふたご座で下弦の月(意識の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、自分が心の底で何に共鳴しはじめているのかが、改めて浮き彫りになっていくはず。
存在としての新陳代謝
パンデミックが宣言されて5度目の夏となる2024年の夏は、再び新型コロナの感染者が増大しているとさまざまな媒体で伝えられていますが、ここで改めてウイルスとは何なのかということについて考えてみましょう。
というのも、私たちはウイルスについて、いまだ目に見えないテロリストのごとき恐ろしいイメージを抱きがちですが、ウイルスは人体を一方的に攻撃している訳ではありません。
まずウイルス表面のたんぱく質が、人体の細胞側にある血圧の調整に関わるたんぱく質と強力に結合します。これは一見すると偶然のようにも思えますが、そもそも宿主とウイルスのあいだには惹かれあう友人ないし恋人関係があったのだとも解釈できます。
さらに、人体側の細胞膜にある宿主のたんぱく質分解酵素の方から、ウイルスたんぱく質に近づいていって、これを特別な位置で切断すると、その断面がするすると伸びて、ウイルスの内部の遺伝物質を人体の細胞内に注入するに至るのだそう。
つまり、ウイルス感染というのは、宿主側がきわめて積極的にウイルスを招き入れた結果、起きている。人間に置き換えれば、ほとんど自業自得と言われてしまってもおかしくないんです。
これはどういうことなのかというと、どうもウイルスの起源とも関係していて、ウイルスというのは生命発生の原初からいた存在ではなくて、もともと高等生物の遺伝子の一部として外部に飛び出したものだったのだと言われています。喩えて言えば、ウイルスは長らく家出していたけれど、ついに帰ってきた私たちの一部なのだという訳です。
同様に今週のおうし座もまた、ほとんど忘れていた自分の思いや感情、業や縁などを改めて引き受けていくということが、少なからずテーマとなっていくでしょう。
おうし座の今週のキーワード
自分自身を迎え入れる