おうし座
容赦なき残酷な追求
肉食の未来を見据えて
今週のおうし座は、肉食再考週間。あるいは、何を愛し、何を食うか、という問題をつき合わせてみずからに問うていくような星回り。
何を食べ、何を食べないかという選択は、現代では宗教的なタブーを持ち出すまでもなく本人の生き方や思想を示すものとなっており、アイデンティティの問題に直結しています。
そして現在のところ、犬猫やイルカ、クジラなど知能の高い動物を殺して食べることを「野蛮で残酷」な行為として非難する傾向がますます強まっていますが、こうした肉食や動物性食品をめぐる忌避意識は、単なる感情的なものというより、他の幾つかの面もあいまって、今後の人類の行く末を考える上で無視できないものになってきているように思います。
まず、肉食は効率が悪いという問題。例えば1キロの牛肉を育てるのにも13キロの穀物と14000リットルの水が必要となる。また、気候問題に関しても、牛のゲップによって排出されるメタンガスには二酸化炭素の25倍の温室効果があり、人類が出す温暖化ガスのうち、家畜由来のものは約15%におよぶ。つまり。本気で温暖化を抑制したいなら現在の肉食の在り方を見直す必要があると言わざるを得ないでしょう。
最後に、倫理的な面。これは大量の食肉を得るために人間が家畜を虐待的な飼育環境に閉じ込め、苦痛を与え、寿命よりはるかに短く命を奪っているという現状に対して、それは果たして許されるのか、どうしたら罪悪感をぬぐいえるかという問題です。
9月7日におうし座から数えて「本当に好きなもの」を意味する2番目のふたご座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、いつも以上に肉食の続行や代替について意識的になってみてはいかがでしょうか。
肉を喰らいて生きてきた
人間がかつて同類の遺体を食べていたことは、多くの考古学や人類学の研究によって確証されており、例えば古代や未開社会では、しばしば重要な人物が亡くなると、その親族や友人たちで遺体をいわば「形見分け」することで、残された者が自分の内に亡き人を取り込んでいくことで、尊敬や愛情の証しとしました。
その意味で、かつての人間たちにとって、狩猟で動物を殺して食べることは、人食いと同じか、きわめて近しいものであった訳で、こうした感覚が失われていったのは動物の家畜化が始まっていった時期とイコールなのです。
ここのところ、『進撃の巨人』をはじめ漫画や映画では、「人食い」ものが流行していますが、これも人類が長らく忘れていた食べる行為をめぐる欺瞞(ぎまん)に再び光を当て、真実を思い出しつつあることの兆候と言えるかもしれません。今週のおうし座もまた、そうした人類学的真実を踏まえた上で、何を自分の内に取り込んでいくべきか改めて思案するべし。
おうし座の今週のキーワード
種は喰らい合うことで絡まり合う