おうし座
ちっぽけなものに目をとめる
万緑に加わりし者
今週のおうし座は、『万緑に加はる杉の青き実も』(守屋明俊)という句のごとし。あるいは、小さくてちっぽけなものにほどまなざしを注いでいこうとするような星回り。
「万緑」とはあたり一面が緑に染まり、夏の山野へと変貌していく生命力のうごめきを表す夏の季語。しかし、そうした一面の緑を構成しているのは、なにもすぐに目につく大きな葉っぱの類いだけとは限りません。なかには、小さくちっぽけな「杉の実」も混じっているのです。
そう思うと、そんな「杉の実」が抱いている万の緑を保持していることへの自負と健気さが、とても愛おしく感じられてくるのではないでしょうか。そもそも、ともに緑をなすのに、大きいも小さいも関係ない。むしろ、つねに変わりゆく生命の本質を体現しているのは、育ちきって形の定まった大木ではなく、未知の可能性を秘めた「青き実」の方なのだという声なき声さえ聞こえてきそうです。
いずれにせよ、こうした作者の小さきもの、弱き者への慈愛にみちたまなざしこそ、俳句の真骨頂なのではないでしょうか。
その意味で、12日におうし座から数えて「責任」を意味する10番目のみずがめ座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、みずからが応答していかねばならない声がどんなものなのか、改めて考えていくことがテーマとなっていきそうです。
偶然からもたらされるもの
トム・クルーズの主演の映画に『マイノリティ・リポート』という作品があります。舞台は2054年のワシントンDC。そこは犯罪を予知できるシステムのおかげで、殺人事件が存在しない平和な世界となっていました。
しかし、“完璧”な世界というものには必ず裏があるもの。不意に吹き込んできた“小さな”偶然にさらされた主人公の取った行動によって、犯罪予知システムはその裏にある暗い事実が明らかとなり、最終的には解体されてしまいます。
同様に、今週のおうし座もまた、自分のもとに訪れた偶然の重なり合いを単なる気のせいや一過性の出来事としてスルーするのか、それとも、平穏無事に見える生活や関係性、仕事(バイト)や健康などに対する恐れや疑念をブレイクスルーして、これまで見過ごしてきた真実を受け入れ、生活や生きる姿勢そのものを改めていくか、選択していくことになるでしょう。
一見して完璧に見えるものほど、危うさを秘めているのだということを、今週はよくよく意識してみてください。逆に、不完全だったり、ちっぽけに見えるものほど、掲句もそうだったように、繋がり方や関わり方次第であなたに新しい喜びをもたらしてくれるはず。
おうし座の今週のキーワード
青き実を見守る