おうし座
人間やめて生きものになる
「春の山」な関係性
今週のおうし座は、『牛の仔の尻叩かれて春の山』(亀井雉子男)という句のごとし。すなわち、おのずと生気に取り囲まれていくような星回り。
牛飼いが自分の子どもの尻でも叩くかのように、仔牛の尻を軽くたたいた。その時の仔牛の様子を描いた一句。
もしこの句の結びが「冬の山」であったなら、牛飼いと仔牛の関係は人間の介入を一切拒むかのような冬山に似て、冷たく荒涼としたものに感じられたはず。また、春の季語の常套である「山笑う」にしても、ユーモアのある句にはなっていたかも知れませんが、それ以上にすこし説明的になり過ぎていたように思います。
あえて簡潔に季語そのままの「春の山」にしたからこそ、牛飼いと仔牛とのあいだの情愛が大らかな春山に重なって、おのずと生気が溢れたものに見えてくる訳です(とは言え、「山笑う」とどちらにするかは作者も迷ったはず)。
それと同様に、2月20日におうし座から数えて「社会的呼応」を意味する11番目のうお座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、掲句のようにバタバタと賑やかにしていくというより、じわじわと身の周りから情愛が湧き出してくるのをジッと眺めていきたいところ。
くんずほぐれつ
自分が結んでいる関わりに「春の山」をもたらすには、とにかく余計なことを考えないことが一番のように思います。
ただ、世の中には余計な解釈や不要な知恵を不思議なほどめぐらす癖のある人がごまんといて、例えば「くんずほぐれつ」などと言えば、それが子猫同士の組み合わせだろうと、きわめて人間的ないかがわしい妄想を抱くものです。
むろん、まだ乳を飲んでいるほどの子猫らにしてみれば、ただ毬のように転がりながら、上になり下になり戯れ合っているだけの話ですし、そこへたまたまひらりと蝶が飛んでくれば、春の日の幸福な出来事の出来上がりといったところでしょうし、それをただ素直に受けとればいい。
今週のおうし座もまた、自身もそんな子猫や蝶にでもなったつもりで、できるだけ体中の余計な力を抜いて誰か何かと関わってみるべし。
おうし座の今週のキーワード
抜け感を取り入れる