おうし座
急がないやり方
身体都市をつくる
今週のおうし座は、急がないで、街を、歩いていくよう。あるいは、自分の居場所を少しずつでも自分で作っていこうとするような星回り。
街を、それも、できるだけ古い街を、ただ、歩く。そういう経験がますます減ってきつつある時代だからこそ、余計に。
できれば急がないで、ただし漫然とというのとはちょっと違って、両側の景色や道に面したお店の佇まいを、少しずつからだに沁みこませていくように、歩く。
なんども同じ通りや街並みを歩いていくうち、だんだん建物の作られた年代がわかるようになり、それらの外観よりも匂いや空気の微妙な変化で判別がつくようになったころ、変な言い方だが、街はようやく自分のからだの一部になってくる。
もちろん、こうしたやり方はそれなりの時間はかかるので、何かと忙しい現代人向きではないけれど、古い街がつくられたころは、人びとはゆっくりものを考えてつくっていたということも、忘れない方がいいのではないでしょうか。
その時点で、その街に関係する事柄について書かれた文章を、何でもいいので読んでみる。すると、書かれている内容が、ふしぎな立体感をもって頭に入ってくるはず。こうなれば、もはやその“街”はあなたの街なのだ。
5月9日におうし座から数えて「居場所」を意味する4番目のしし座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、そんな“身体都市”を少しずつでも増やしてみてはいかがだろうか。
岡潔の「可能性の可能性」という言葉
夜型にするか朝型にするかという問題は、リモートワークやフリーランス化の波がますます広まっていくだろう今の社会では定期的にホットトピックとなっていますが、天才数学者で名随筆家でもあった岡潔は今から半世紀以上前の1963年に刊行された『春宵十話』の中で「日によって、自分自身の生理状態に従って夜型であったり昼型であったりするだけで、すべて自然に逆らわないようにしている」と結論付けています。
さらに、大自然のやり方というのは「全くぜいたくなもの」で、カエルの卵も非常におびただしい数の中からわずか1匹しかできないことを例に挙げ、2年に1本仕上げる自分の論文もその方式で書いているのだと続けた後、次のように述べているのです。
十考えても、そのうち本当のものである可能性は一つぐらいしかない。その可能性の中で、さらにまた本当のものは十分の一だ。だから百分の一という数値は可能性の中の可能性だともいえる。可能性の可能性というのは、これは希望のことなのだ。つまり、こんなふうにあってくれないかなあ、というのを描いているにすぎない。
同じ意味で、今週のおうし座のあなたもまた、大自然のぜいたいくなやり方というやつに従ってみるといいでしょう。
おうし座の今週のキーワード
とことん贅をつくす