おうし座
空気との付き合い方革命
浮いて生きていく
今週のおうし座は、浮遊する都市のごとし。あるいは、特定の関係や場所や役割に自分を縛らせるのではなく、より包括的な生活デザインを求めていこうとするような星回り。
日本人というのはとかく「浮く」という言葉にある種の根源的不安を感じるようにできているものですが、一方で地球の表面の4分の3は水で覆われ、またすべての表面は大気で覆われており、つまりこの世は流体だらけのまさに“浮世”であって、やはり浮いて生きていくことがもっともふさわしい場所でもあります。
そして実際、1960年代初頭には、読売新聞の社主であった正力松太郎が、技術者であり思想家のバックミンスター・フラーに東京湾に浮かぶ四面体都市構想のデザインを依頼していたという事実もあります(依頼者の死亡によって計画はとん挫した)。
それは依然としてまだこの世のどこにもないユートピアではありますが、土地代金とエネルギー使用料を徴収されることもなく、銀行や企業の代わりに水と光と宇宙と相互作用するためのテクノロジーによってエネルギーの最適な置換が選択される浮遊都市は、技術的にも、居住性や経済性の面でも実現可能なアイデアであることがわかっているのです。
その意味で、4月13日におうし座から「社会的・精神的関係」を意味する11番目のうお座で木星と海王星が重なっていく今週のあなたもまた、常識や固定観念をいったん脇に置き、流体だらけのこの世界にふさわしい生き方というものを構想してみるといいでしょう。
根本原理としての「空気」
ソクラテス以前の哲学者たちは、この世界を「神」というチート概念を用いることなく、統一的・総合的に理解するための出発点を抽象的なものではなく、「火」や「水」など日常経験しうるもののうちに見出そうとしましたが、紀元前6世紀に生きた哲学者アナクシメネスはそれは「空気」だと考えました。
空気はまず希薄さと濃密さによってその在り方が変化していきます。希薄になると火になりますが、濃密になると風になり、ついで雲になり、さらに濃密になると水になり、それから地となると。そして、他のものはすべてこれらのものから生ずると考えられました。
空気は水に対する火のように、特定のはっきりとした対立物を持たない中間的性質を有し、私たちの周囲にあまねく無限に広がっています。アナクシメネスにとって空気はものみなに生命活動を与える原理としての「魂」でもあり、大宇宙と小宇宙とが対応しているさまについて次のようにも述べていました。
空気である私たちの魂が、私たちをしっかりと掌握しているのと同じように、気息と空気が宇宙を包み囲んでいる
ここで彼が言う「空気としての魂」というのは、霊魂のような神秘的な実体の詩的な表現ではなく、おそらく自主的な知的原理としての呼吸やそれに連動する精神活動であり、アナクシメネスはその可能性の大きさに、当時誰よりも深く気が付いていたのでしょう。
今週のおうし座もまた、習慣的に周囲の“空気を読む”ばかりではなくて、時代の空気について考え、自分が吸い込みたいと思えるような呼吸や活動を積極的に先取りしていきたいところです。
おうし座の今週のキーワード
気息と空気の連動