おうし座
いのちあおあお
こちらは4月12日週の占いです。4月19日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
花は散れど、柳は生きる。
今週のおうし座は、「恋々として柳遠のく舟路哉」(高井几董)という句のごとし。あるいは、身の上に起きるいろいろなことを柳のように受け流していくような星回り。
しだいに渡し場の柳が遠のいていく。「恋々として」は未練の気持ちが捨てきれず諦められないさまを表わしていますが、そのまま読むと七音で字余り。
「恋々と」なら五音におさまるにも関わらずわざとそうしなかったのは、おそらくは女性だろう作中主体のいつまでも尾をひいていく想いをそこに重ねたのでしょう。
川が流れるというのは、時間が流れることのメタファーですが、本当は「意識が流れている」のであって、これは前を見ることができないということでもあります。私たちは、いわばバックミラーごしに過ぎ去っていくものを見ることで、心の中でそれを起こし、それを言葉にしていく。
逆に言えば、私たちは自分の心が作り出した事物の“影”に囚われている訳で、それから逃れることができない。えんえんと柳から遠ざかり続けている。つまり掲句の「柳」というのは、影に対する本当のリアリティであり、すべてが流れさっていくなかでいつまでも残り続ける緑であり、これは「ただ在る」ということに他なりません。
12日におうし座から数えて「浄化」を意味する12番目のおひつじ座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、いつまでも年をとらない「いのち」を感じ取って、そこに安らいでいきたいところです。
「女は波だから、潮だから」
考えてみれば、日本という国が肌感を伴なって農本主義でなくなってきたのは、やっと戦後のことでした。産業構造が変わり、会社勤めをする人が増え、農家の嫁以外の‟職業”につく女性が増えていったのです。
戦火をかいくぐり、飢餓や苦境を生き延び、多様な職業につくようになって、自分たちも少しは地位が向上しただろうか。ちょうどそんな意識が共有され始めた1970年代中ごろに、女性の手によって編まれた詩に永瀬青子の『蝶のめいてい』がありました。
窓から外をみている女は、その窓をぬけ出なくてはならない。日のあたる方へと、自由の方へと。
そして又その部屋へかえらなければならない。なぜなら女は波だから、潮だから。人間の作っている窓はそのたびに消えなければならない。
ここでいう「窓」とは、ものごとの視野を狭めて規定する価値観の‟枠”であり、「ここから先はお前の領域ではない」と社会がこさえて用意してくる‟柵”でもあったのでしょう。
けれど、女は本来、男よりも自然に近く、容易に‟枠”にも‟柵”にもおさまらない存在であり、むしろそれらを消し去り、押し流すほどの力を秘めているのだということを、この詩人はよく分かっていたのでしょう。
今週のおうし座もまた、そんな風に自分に秘められた力がどれほどのものであるのかを、改めて自覚していくことになるはず。
今週のキーワード
融通無碍