おうし座
息の長い貢献を目指して
地道に生きるとは何か
今週のおうし座は、地味なプラトンのごとし。あるいは、かっこつける美学の代わりに、かっこ悪く地味にやるということを大切にしていくような星回り。
哲学界のアイドルであり、真の賢者の地位に長らく担ぎあげられてきたソクラテスは、挑発的な言動を徹底して繰り返し、ついに何も書き残さないまま、みずからの美学に殉じて死刑宣告を受け入れて死んでいきました。
確かにそれはかっこいいし、伝説的な存在として歴史に名を刻んだ訳ですが、弟子のプラトンはそんな師の最期を見て考えるところがあったのでしょう。ソクラテスが殺されないような世界を作らなければならないと決心し、彼はアカデメイアという学校を作りました。
この学校作りのどこが画期的だったかと言うと、それまでもピタゴラス派が学校のような組織を作ってはいたのですが、各部屋にピタゴラスの肖像を飾って、基本的にはピタゴラスの言ったことから外れたことは言ってはいけないということになっていたのです。その点、アカデメイアの中にはプラトンの考えに批判的な反プラトン派もおり、学頭がニ代目、三代目になると早速プラトンを批判していたりとか、多様性を許容して「カリスマ的な権威」であるとか「絶対的な師弟関係」を開いていったのです。
13日におうし座から数えて「持続していく活動」を意味する11番目のうお座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、そうした組織の新しい形をつくったプラトンにならって、ちょうどいい多様性を担保していくことでみずからの活動の持続性を高めていくことがテーマとなっていくでしょう。
吐く息を大切に
ソクラテスとプラトンの関係を思うと、最良の人間関係とはどんなものなのかということを考えざるを得ません。少なくとも、二人の場合は性格も特質もまったく異なるものだった訳ですが、少なくとも「息の合う」相手ではありました。それも、吐く息の方が合う相手。
オギャーと生まれてきたその日から、私たちはつねに息をしてきたし、やがて息を引き取るその日までそれは続いていく訳ですが、若い頃はどうしたって「吸う息」の合う相手を求めていきやすいように思います。
「吸う」とは英語で「inspire」と表し、名詞形にすれば「インスピレーション」になります。つまり、同じアーティストに影響を受けたり、似たバックグラウンドを共有できる相手をこそ最良の友と考えやすい。それが間違いという訳ではないのですが、必ずしも絶対的なものではないでしょう。
なぜなら、人間の生き様というのは、何に影響を受けたかよりも、周囲にどんな影響を与えていくか、ということによっても規定されていくからです。その意味では、ソクラテスもプラトンも、それぞれのアプローチを通して、確かに人類の哲学に多大なる貢献を残しました。
同様に、今週のおうし座もまた、「自分という人間はこの世の何に寄与していこうとしているのか」という視点をできるだけ大切にしていきたいところです。
今週のキーワード
まずはひとつひとつの呼吸から