おうし座
湧き出す力
冬木の生命力
今週のおうし座は、「冬木描くいきなり赤を絞り出し」(橋本美代子)という句のごとし。あるいは、誤魔化しようのない強さが滲み出てくるような星回り。
冬は常緑樹も落葉樹も休眠期間に入りますが、「枯木」というと荒涼とした景色のなかでじっと耐えている風情が出るのに対し、「冬木」という言葉はより力強い生命力を発しており、孤高の美しさも強調されます。
作者は大正生まれの人で、橋本多佳子の四女にあたる親子二代の女流俳人。冬木を詠んだ句にはそこにおのれの姿を重ねたものが多いですが、掲句の場合は、女性の哀しみや自我などを詠んだ母の姿があったのかも知れません。
たとえ痩せ衰えて見えようとも、その内部には「赤」に象徴される力強い生命力を内包しているさまが大胆に描写されていますが、それもどこか女に根差した深いところから発されているように感じられます。
赤は鮮烈な血の色であると同時に、暗い情熱を宿した危険信号の色でもあります。
6日におうし座から数えて「フィジカル&メンタルな健康」を意味する6番目のてんびん座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、自分の身の内にうずく意外なほどの力強さやぬぐいがたい暗い情熱を改めて実感していくことでしょう。
湯屋を訪れた腐れ神
映画『千と千尋の神隠し』の中で主人公の千が働く湯屋に、腐臭を発するヘドロの塊のような姿になった神様が客としてやってきて、風呂を楽しむシーンが出てきます。
千はそこで腐れ神の体の奥に何か引っかかっているものを見つけ、従業員総出で引っこ抜いてみると、出るわ出るわのガラクタの山。そうしてすっかり体からそれらが取り除かれると、腐れ神は立派な川の神へと姿が変わり、龍となって空を飛んでいったのです。
こうしたドラマもまた生きている不思議の一つと言えますが、今週のおうし座は、まさにそうした“回復”を遂げる流れに乗っていきやすいでしょう。
疲労が蓄積してくると、どうしても人は安易なパターンや失敗しないやり方へと落ち着いてしまうものですが、エネルギーの力強さを取り戻していける今ならば、改めて「自分は何者であり、どんな仕方で周囲に豊かさをもたらしていけるのか」をめぐるビジョンが泉のように湧き出してくるはずです。
今週のキーワード
だんだん自分になっていく