おうし座
情念的な結びつき
もののはずみを引き起こす
今週のおうし座は、「寒き電線絡み入るスナック純」(坊城俊樹)という句のごとし。あるいは、自分なりの仕方で身の内の情念を再認識していこうとするような星回り。
「スナック純」がどんな店なのか、実際のところは知りませんが、どこか繁華街のはずれの一角で中年のママが女の子一人を雇って営んでいるような小さなお店を想像する人は少なくないでしょう。
路地の電信柱からは「絡み入る」電線がのび、作者の目から「寒き」ものとして描写されている訳ですが、そこに作者の「スナックはこうでなくちゃ」といったある種の美学がうかがえます。
つまり、思わずふらっと立ち寄りたくなって、カウンター席でひとり飲んでいたとしても、誰かと共にいる感じがする。そうした絶妙な温度感を求めて、人は盛り場を場末まで流れてしまうのではなかったか。
575の定型からだいぶ崩れた破れ調子の掲句を詠んでいると、どうしてもそんな一群の酔客の不確かな足どりを思い描いてしまいます。
8日におうし座から数えて「表出とカタルシス」を意味する5番目のおとめ座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、「〇〇はこうでなくちゃ」といった極私的な好みや欲求を改めて全開にしていきたいところです。
美的であるために
人生はさまざまな「もののはずみ」や「たまたま」、そして「ふと」や「ふいに」によって左右されており、そのことを私たちは時に「一寸先は闇」と言ってみたり、「青天の霹靂」と言ってみたりして、その都度一喜一憂していきます。
ただ、そうして生まれてから死ぬまでたくさんの偶然にさらされ続け、多くの重要な選択を余儀なくされていくにも関わらず、偶然に活を入れる秘訣について、なぜか学校ではほとんど何も教えてくれません。
例えば、「初対面の人にまずどんな言葉をかけようか」という場面なら、自分がどんな選択肢を持っており、そこへその場の状況がもたらす偶然が組み合わさることで、言葉や行動の結びつきがどう変化していくのかをまず意識してみてください。
<美的>であるということは、進化の袋小路や行き詰まりから離脱するということであり、それは何よりもまず普段から何気なく選択している言動の結びつきやパターンに鈍感にならず、できるだけ敏感であることによって培われていくのです。
今週のおうし座は、そんな自身の情念的な結びつきについて意識を研ぎ澄ませていきましょう。
今週のキーワード
生きた質感、生きた選択