おうし座
自分の中の古い地層の浮上
脱・現代人
今週のおうし座は、「私はインコである」と言う先住民のごとし。あるいは、古代人の見ていた世界像にグーンと近づいていくような星回り。
文化人類学におけるいわゆる“未開人”のフィールドワーク調査では、しばしばとても不合理な考え方をする人々のことが報告されます。
北米大陸の先住民たちも冒頭のような発言をして、最初は宣教師たちに気狂い扱いされていました。インコは鳥であって人間ではないだろうと聞いても、「いや、私はインコです」という答えしか返ってきません。
しかし、先住民の名前は「サンダーバード」とか「レイブン」など、彼らの神話に登場する伝説上の鳥や他に熊や狼やアザラシなどといった動物たちにあやかったものであり、つまり自分たちと動物とのあいだに共通性を見出していた訳です。
こうした思考方法のルーツは非常に古く、20万年前にホモ・サピエンスが出現した時に芽生えたアナロジー能力、つまり似ているものを似ていると認め結びつける能力であると考えられます。人類の最初期、私たちはみな詩人だったのであり、響きに満ちた呼び交わしの中で、人間は「人間」という枠に囚われず、さまざまなつながりを自由に見出していたのです。
7日におうし座とさそり座とのあいだで満月が起きていく今週のあなたもまた、さながらそうした古代人のように、ごく当たり前のように樹上の鳥になったり、花壇や道ばたで咲く花になったりして、現代人的な分別や区別の線引きをぴょーんと飛び越えていくことがテーマとなっていくでしょう。
理由などない
地球が自転していることに慣れ切ってしまった人は、ついつい自分のことを毎日おなじことを繰り返している存在と思い込んで、地球が公転していることを忘れがちです。ただしその一方で、私たちはあるとき昨日と同じように朝を迎え、日が差してきたはずなのに、昨日とはまったくあたりの景色が変わっていることを、新鮮な驚きをもって発見することがある。
そういうことも、人類が切り離された個人としてではなく、例えどんなに否定したとしても、どこかで原始人的心性の名残りに他ならないと考えることもできます。
あるいは時として、何の落ち度もない相手に特別な理由もなく冷めてしまったり、あるいはその逆の事態が起こったりすることがあるのも同じ要因かも知れません。
とってつけた理由などなくても、唐突に誰かのことを好きになったり、嫌いになったり、世界観が変わってしまうことだってあり得るのだと今週は自分に許していきましょう。
今週のキーワード
思いの隔世遺伝