おうし座
死亡遊戯
すべては真剣であり、ばかばかしくもある
今週のおうし座は、『ゴーガン私記』というエッセイのごとし。すなわち、生きるのがうまい訳ではないが、それでも意志し、戦おうとしていくような星回り。
19世紀末フランスで活躍し、2度のタヒチ滞在を通じてプリミティヴィズムに強く影響を受けたポスト印象派の画家ゴーギャンは、最晩年に或るエッセイ集を遺しています。
その中に「人生とは」という少し野暮ったい表題のエッセイがあり、冒頭で「人生とは、人がそれを意志的に実践するのでなければ、少なくともその人の意志の程度にしか、意味を持たないものだ、と私は考えている。美徳、善・悪などはことばである。もし人々が、それをひき砕いて建物を建てるのでなければ、(中略)意味を持たない」と述べています。
ずいぶん率直に物申す人だなと思っていると、唐突に「私は、愛したいと思いながら、それができない。私は愛すまいと思いながら、それができない」と告白してみせるのです。
彼はけっして愚かではなかったものの、だからといって生き方がうまい訳でもなかったのでしょう。彼の文章はそんな特質を反映するように、まどろっこしく不安定なのですが、それも「すべては真剣であり、ばかばかしくもある」といった少しの本音を隠すためのカモフラージュのように思えてきます。
10日におうし座から数えて「表出」を意味する5番目のサインであるおとめ座で満月を迎え、同じタイミングで水星が順行に戻っていく今週のあなたもまた、得意になるためでも、後悔するためでもなく、ただ純粋に自分自身のために何かを表現していくことがテーマとなっていくでしょう。
それでも地球は動く!
ガリレオは地動説を唱えたことを理由に宗教裁判(異端審問)にかけられ、有罪判決を受けたことで有名ですが、彼を「悲劇の人」にしているのは裁判当時のガリレオが70歳にもなる老齢であったことが大きいでしょう。しかし実際には、なかなかどうして、どうにも食えないじいさんだったように思えてなりません。
というのも、ガリレオは論争などにもえげつないほどに強く、また何らかの法則を構想して、その計画にアレンジした実験を行っていくという近代科学的方法を最初に始めたのも彼でした。つまり、ガリレオという人はきわめて現代人に近い感覚の持ち主だった訳で、そういう彼のことだからこそ、友人に「ローマなどに行くと政治に巻き込まれるぞ」といさめられても、「なに、抹香臭い坊主共の政治や宗教裁判くらい」とあまり深刻がらずに、いざとなればなんとかなると思っていたのではないでしょうか。
今週のあなたもまた、自分の身を守ることに汲々とするより、決して引くべきではないと判断したら思い切って相手の懐に飛び込んでいくだけの大胆さを発揮していきたいところです。
今週のキーワード
プリミティ部