おうし座
助けたり助けられたり
スズメの歌
今週のおうし座は、曹植の「野田黄雀行(やでんこうじゃくこう)」のごとし。あるいは、自分の意見をしかと伝えていくべく動いていくような星回り。
曹植(そうしょく)は、三国志の英雄である魏の曹操(武帝)の息子のうちでもっとも詩人としての才に優れていたとされる人で、ただし曹操の帝位を継いだ兄の曹丕(文帝)と仲が悪いことでも有名で、この楽府(民間歌謡ふうの歌)は身の危険を感じている自分を野のスズメに託して歌ったものです(「行」は歌のこと)。
その冒頭は「高樹 悲風多く 海水 その波をあぐ」から始まるのですが、これは裏返せば低い樹には激しい風は吹かず小さな池には波風立たぬ、ということになり、作者の今いる状況の危うさ、厳しさを象徴しており、この状況の中で1羽のスズメが出てきます。
剣を抜いたアミを斬り払ったのはむろん少年であり、スズメ=作者は自分を助けてくれる存在=少年の出現を待ち望んでいたのかも知れません。
16日(日)におうし座から数えて「イコールパートナーシップ(対等な他者)」を意味する7番目のさそり座で下弦の月(意識の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、助け合う中で認め合う強さというものもあるのだと気付いていくことがテーマとなっていきそうです。
借金の効用
私たちは生きている間の多くの時間を自分が想像している以上に落ち着きなく、注意散漫で、本当の意味で集中していないものですが、逆に、何かの拍子で目の前の状況や特定の対象に没入できた際には、自分や周囲の想像以上の力が発揮されていきます。
そして、そのようなことが最も起きやすい事態に「借金」が挙げられます。ネガティブなイメージのついて回りやすい借金ですが、実は「相手に今後の自分を見ていてもらう」という形で、非常に高いハードルを自分に課していく行為でもあるのです。
少しでも借りを返すべく自分を成長させ、利益を作り出していくとき、そこには「相手に他人の変容に関わる喜びを与える」という貸し借りの相殺以上の‟+α”が生みだされていく訳です。
そういう意味では、今週のおうし座もまた、周囲をどんなふうに巻き込んでいくのか、また巻き込むべき相手をいかに取捨選択できるか、そんなことをどこまで楽しんでいけるかが問われてくるのだと言えるでしょう。
今週のキーワード
急ぐべからず