おうし座
書を捨てよ、野へ出よう
‟玩具”は一度捨てるべし
今週のおうし座は、ルソーのデビュー作である『学問芸術論』のごとし。すなわち、これまでの教えをあえて否定することで、意外な発想の転換を促していくような星回り。
それまでほとんど無名だったのルソーは、38歳の時に「学問と芸術は習俗の純化に貢献したか否か」という題目に対する懸賞論文において、大胆にも学問や芸術こそ人々を退廃させたのだと否定的な論陣を張ることで、一躍有名になっていきました。
彼はそこで学問の進歩が傲慢な精神や贅沢の蔓延をもたらし、18世紀半ば当時の学問芸術を単なる貴族の自己満足でしかないと、厳しく糾弾したのです。
とはいえ、彼はそこですべての学問を否定した訳ではありません。
徳の教育こそが必要であり、そのためにはなくても困らない玩具のような「貴族の学問」を捨て、長年染みついた文化のしがらみを取り去ることで初めて、「誠実や歓待や正義」などの本当に必要な徳の大切さが身に沁みてくるのであり、それを促す限りにおいて学問や芸術は意味を持つと考えた訳です。
確かに、学問を身につけたり、何かしら“専門家”然としてくると、自然やこの世界の在り様に対する畏敬の念を失っていくというケースは現代でも珍しくありません。むしろ、「自然に還り良心の声を聴くべきである」というルソーの主張は、現代においてその重要性が増しているようにも思えます。
13日(月)から14日(火)にかけて、おうし座から数えて「高等教育」を意味する9番目のやぎ座で太陽と土星と冥王星が正確に邂逅していく今週のあなたにおいてもまた、自分の無意識的な“偏り”を正したり、より自分本来の自然に近い状態へと戻っていこうとする作用が働いていきやすいでしょう。
野蛮が文明を圧倒する
ひとりの人間の中には、経験や教育を通して洗練され磨き上げられた文化的側面と、生まれたてのまま半ば放置されてきた野蛮な側面とが様々なレベルで絡みあいつつ、なんとか共存しています。
そして当然、それぞれの側面がその都度おのずから抱く欲求や衝動を満たそうとしていきますが、そのうちのどこに焦点を当てて、自分なりに育んでいけるかで人生は上昇したり下降したり、あるいは進化したり退化したりする訳です。
そういう前提の上で、今あなたは人生の大切な岐路に立っているのだと言えます。
人が何を言おうが思おうが、親や上司の教えに反しようが、今は自分なりの生き方を、自らの感覚を通じて、しっかりと再確認する時です。そのためにも、できる限り純粋でシンプルな喜びや楽しみに立ち返っていくことを意識していきたいところです。
今週のキーワード
自然に還れ