おうし座
命へのセレブレーション
祝福の光景
今週のおうし座は、「しずかなるいちにちなりし障子かな」(長谷川素逝)という句のごとし。あるいは、精神が澄んで、かつ気持ちがピンと張っていくような星回り。
夜、あるいは日暮れ頃だろうか。1日を回想しながら、目の前に広がる障子を眺めている。何度思い返してみても、波ひとつ立たず、ひたすら心が静かだったのです。
掲句を作った時、作者は病いを得て入院していました。病院は、基本的に病人が多く集まり、なかなか一人きりで過ごすことも難しい場所ですから、嫌なことは限りなく起きる可能性が高いはずなのに、奇跡的にそれが一切なかった。
その意外性ゆえに、「しずかなるいちにちなりし」という思いに至ったのでしょう。
障子は室内の灯りを返しつつ、その色を含んでぼうっと広がっている。まるで自分の今日いちにちをそっと祝福してくれているように。
26日(木)におうし座から数えて「信仰心」を意味する9番目のやぎ座で日食新月を迎えていく今週は、日々の慌ただしい現実とは裏腹に、自分の心を澄んだ冬の空気のようにしてくれるものや存在に意識が集中していきやすいでしょう。
尊厳の感覚とその受け皿
仏典によれば、かつてゴータマ・ブッダは母・摩耶の胎内から出て七歩歩き、蓮の花の中に立って、「天上天下唯我独尊」という第一声を放ったと言われています。
これは、この世に個として存在する「我」より尊い存在はないという自らの尊厳への確信に貫かれた言葉。
そして、蓮の花とはそんな尊厳にみちたブッダを支える玉座、すなわち「背後から支える力」として彼の聖性と分かちがたく結びついており、聖地における磐座(神の宿る自然の依り代)に近い役割を担っているものとも考えられます。
つまり、あなたが自分本来の尊厳を取り戻していくためには、まず自分にとっての「蓮の花」を見つけていかなくてはならないのです。
今週のおうし座は、そんな普段あまり意識をそこに集中させることのないような、秘やかなパートナーシップや結びつきに焦点があたっていくでしょう。
今週のキーワード
聖地の条件