おうし座
日常生活と調和の表現
生命の流れのままに
今週のおうし座は、田を耕す牛のごとし。あるいは、自分の道を歩み始めていくために、一歩一歩着実に生活を整えていこうとするような星回り。
インドの誇る大詩人であり、1913年にアジア人で初めてノーベル賞を受賞(文学賞)を受賞したタゴールには、サンスクリット語で「生の実現」ないし「霊的な修行」を意味する『サーダナ』という著作があり、そこでは彼の大らかでありながら繊細な生命観が語られ、現代において「生命」というものを考える上でも実に示唆に富んでいます。
例えば、
「われわれは至るところで生と死との戯れ―古いものを新しいものに変える働き―を見ている」
という言葉には、老いや病いといったものは生命に付き従う影にすぎず、われわれの生命は川の流れのように、無限なる海に開かれ続けているのだという彼の肉声が今にも聞こえてきそうです。
ただ、9月6日(金)におうし座から数えて「日々の労働」や「生活リズム」を意味する6番目のいて座で上弦の月を迎えていく今週のあなたへ特に贈りたいのは、次のような一節。
「生命が詩と同じように、たえずリズムを持つのは、厳格な規則によって沈黙させられるためではなく、自己の調和の内面的な自由をたえず表現するためである」
調和な自由を表現するためにこそ、私たちは日々、会社で働いたり、家事をしたり、ペットを飼ったり、植物の世話をしたり、夜寝る前に日記をつけたりするのかもしれません。
今週は、それらひとつひとつの日課の手応えを確かめながら、自身の中の生命の流れを感じていきたいところです。
からっぽの器
タゴールの別の詩集『ギーターンジャリ(「歌の捧げもの」の意)』には、次のような一節があります。
「あなたは私を限りないものにした。それがあなたの楽しみなのだ。この脆い器を、あなたは何度もからにして、またたえず新鮮な生命を注ぎ込んだ。この小さな葦笛を、あなたは山や谷に持ち回り、永遠に新しいメロディーを吹いた。あなたの手の不死の感触に、私の小さな心臓は喜びのあまりに限度を失い、言いようのない言葉を叫ぶ」
タゴールが、ひとりの平凡な人間であると同時に偉大な詩人となりえた秘密は、ひとえに「からっぽの器」としてのセルフイメージを徹底的に持ち続けることができた点にあるように思います。
そして今週のあなたもた、暮らしのリズムを整えていくなかで、そうした感覚を掴んでいくことが出来るかもしれません。
今週のキーワード
<我>を何に捧げるか