おうし座
偶然と歴史
偶然とイタズラ
今週のおうし座は、ポアンカレの偶然論のごとし。あるいは、「運命の人」と、より気軽に遊んでいこうとするような星回り。
歌人の穂村弘が『もしもし、運命の人ですか。』というタイトルの恋愛エッセイ集を出していますが、まだ固定電話オンリーだった子供の頃に、自分の周りで適当にダイヤルを回して電話に出た相手にそれと同じ言葉を発して反応を試すという遊びが流行っていました。
幸か不幸か「はい、そうです」という言葉が返ってきたことはありませんでした。
他愛のないイタズラとも言える電話遊びも、よく考えてみれば、偶然というものを存在論的なものとして見なすべきか、それとも、主観的で注意を払うに値しないものと見なすのかという、重要な問いの萌芽がそこに含まれていたように思います。
例えばフランスの数学者アンリ・ポアンカレは、偶然性の定義について以下のような興味深い提案をしています。
「われわれの眼に止まらないほどのごく小さな原因が、われわれの認めざるを得ないような重大な結果をひきおこすことがあると、かかる時われわれは、その結果は偶然に起こったという。」(吉田洋一訳、『科学と方法』)
先の電話遊びに紐づければ、押したボタンが1つ違えば、まったく異なる先に繋がってしまう訳です。
8日(木)におうし座から数えて「他者」や「パートナー」を意味する7番目のさそり座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、そうした偶然が自分の最も重要な人間関係において、いかに作用しているかということを改めて実感していくことでしょう。
人も歴史を繰り返す
最近、「人生のターニングポイント」と言えるような瞬間はありましたか?
たとえ今はそこまで大げさに考えられなくても、いずれ「あの時がそうだった」と言える日がくるかもしれませんね。
同様に、あなたのちょっとした一言やさりげない行動が、誰かの「人生のターニングポイント」となることだって十分ありえるのです。
その際、たいていの場合「歴史は繰り返される」という言葉の通り、ひとりの人生においても、何度も同じパターンが繰り返されているものだということも、どうか覚えておいてください。
今週は、自分は、相手は、どんなパターンやサイクルを繰り返してきたのか、という点を丁寧に見ていくことを心掛けていきましょう。
今週のキーワード
小さな差異が大きな結果の違いを産み出す