おうし座
揺るぎなさをよみがえらせる
心にそっと蛇を放つ
今週のおうし座は、「水ゆれて鳳凰堂へ蛇の首」(阿波野青畝)という句のごとし。あるいは、余計なものを脱ぎ捨てて、自然で生気にみちたエロティックな生に入っていくような星回り。
「鳳凰堂」とは宇治の平等院鳳凰堂であり、「水」とは鳳凰堂前の池のこと。そこを蛇が泳いでわたっていく。「水ゆれて」とあるので、かなり大きな蛇なのでしょう。
雌雄一対の鳳凰が屋根から見下ろす鳳凰堂は、さしずめ一切の欲望からの解脱を遂げた仏の世界であり、「蛇の首」はさながらそれを侵す魔のごとく、力強く進んでいく。
掲句には、どこか中世の王朝世界における闇の感覚にも通じるものが感じられますが、そうした日の光のもとできれいに整えられた建て前的なるものを大いに揺るがし、根本から怪しくさせてしまうような本能の一撃こそ、まさに今のおうし座が求めているところなのではないでしょうか。
7月3日のかに座新月に、4日の金星かに座入りと、おうし座から数えて「よみがえり」を意味する3番目の位置関係にあるかに座の影響力がたたみかけるかのように強調されていく今週は、いつも以上に暗い本能の存在に意識の焦点が合いやすくなっていくはず。
「腹を使う」ということ
蛇が前へ進んでいく際、決定的な原動力となるのは何といっても「腹」です。例えば「腹を使う」と言えば、それは深く呼吸するということを意味します。息は、深いほどいいんです。
宇宙と一息に呼吸している者は、自然とともに息しているし、苦しい時も、楽しい時も息の乱れることはなく、ゆるぎない紐帯で宇宙と繋がっています。
なぜ生まれる
なぜ育つ
なぜ生きる
なぜ死ぬ
どの問いに関しても、分かっているのは生ある者はいつか必ず死ぬということだけ。しかしそのことすら自分だけは死ぬはずがないと思っている内は思い出さない。そして「深い息」とは、死の向こう側の空気をすこし腹に入れるということでもあります。
今週は、ある意味で頭を使ってじたばたと策を弄するのではなく、ただひたすら太く深い息を養うことで、繋がりを取り戻していくことに集中していくといいでしょう。
今週のキーワード
息に引かれて動いていく