おうし座
健全と不健全のあいだ
魔と間
今週のおうし座は、間が熟すのを待っていくような星回り。あるいは、情念を消し去ろうとするのではなく、共生していこうとすること。
人間というのは、つまるところ愚かな存在であり、どんなに理知的な人であったとしても魔が差す時は差しますし、突発的にとんでもないことをしでかすことだってある訳です。そういう時は理性は働きませんし、取り繕うとすればするほどおかしなことになっていきます。
「健全な人間とは、精神がいかなる病的な魂の動きによっても惑わされない人々のことと考えるとすれば、逆に心惑わされている人々のことを「不健全」と呼ぶ必要がある」
こう述べたのは古代ローマのキケロでしたが、そもそも妄想であれ欲望であれ、いかなる情念も生き延びるためのよすがとして成立したはず。
謹厳で知られるストア派の哲学者たちもまた、無情念ではなく「メトリオパティア(穏やかな情念)」を彼らの理想としましたが、それを実現するには緊張に満ちた瞬間をやり過ごし、魔と十分に“間”ができるまで待つ術を覚えなければなりません。
6月3日(月)のふたご座新月を前に、改めておうし座を月が通過していく今週は、そうした時が熟していく感覚、あるいは時間に癒されていく手応えを静かに感じ取っていくことがテーマとなりそうです。
自然に任せる
毎年春先になり、そろそろ暖かくなってきたかなという日が続くと、今度は寒さがぶり返してくる、ということが何度が繰り返されますが、こういうことは運気の流れにもよく起こってくることです。
ただ、時々すっかり季節が春に変わったのにも関わらず、過ぎた冬を思い出したかのように唐突に寒さが戻ってくる日があったら、それはまだ心の中で解消しきれずに残っていた「恐れ」のせいかもしれません。
とはいえ、そういう現象を必要以上に問題視したり、重く受け取る必要はないでしょう。
環境へと適応しきれなくなった身体が、自身を調整するために風邪をひくように、きちんと熱を出して、汗をかき、一通り症状が落ち着くまでおとなしくしておくこと。熱や咳であれ、運気的停滞であれ、症状というものは出てくること自体に必然性があるのです。
もし恐れが開いたのなら、風邪をひいたのだと思って、ひと段落するまで慌てず落ち着いて時間を取りましょう。
今週のキーワード
自分の身体を信用すること