おうし座
無力の国から出ていくために
失望を越えていけ
今週のおうし座は、「遠足してゐて遠足したくなる」(平井照敏)という句のごとし。あるいは、かすかな心の揺らぎが、さざ波のように広がっていくような星回り。
掲句のような思いは、誰しもみな一度や二度は覚えがあるのではないでしょうか。
恋愛をしている最中に恋愛をしたくなるとか、どこかに「こんなはずじゃなかった」という軽い失望感があって、現実がそこまで最悪でないからこそ、それが影のようについて回っていつまでも消えてくれない。
そして、こうした心理はちょうど今のおうし座にもどこか通底するはず。
理想と現実のギャップというのは、ある程度状況が進み、予想や期待に対して少なからず結果が出てきて初めて明らかになってくる。
3月におうし座入りした天王星を太陽と月に続いて水星が追い越していく今週は(厳密には8日)、ここしばらくの自身の身の周りや心境の変化に対する気付きや発見が何かと生まれてきやすいでしょう。
ただし、そこで「遠足」の現実を認めたくないあまりに「こんなのは遠足じゃない」と放棄してしまうか、現実の遠足の延長線上に理想の遠足とのつなぎ目をどうにか見つけ出していこうとするかはあなた次第。
「病は気から」と言いますが、今週はその言葉が意味するところをポジティブに利用して過ごしていきたいところです。
気長に現実を彫り出していくこと
ルネッサンスを代表する彫刻家ミケランジェロが人類に残してくれた遺産のひとつに、次のような言葉があります。
「余分な大理石がそぎ落とされるにつれ、彫像は成長する。」
(The more the marbles wastes, the more the statue grows.)
妥協をしなければ得られないような成果や相手であるならば、こちらから願い下げする。今のおうし座には、それくらいの見栄を切っていくくらいがちょうどいいのかもしれません。
さながら彫刻家になったつもりで、丁寧に時間をかけながら、自分の生活から余分なものをそぎ落としていくといいでしょう。
ただし間違っても、自分を無力などとは思わないでください。
それは誤解であり、逆にそうやってすぐに「無力の国」を作りあげ、あなたをそこへ閉じ込めたがる他者こそ、そぎ落とすべき対象の本丸なのだと覚えておいてください。
今週のキーワード
現実彫刻家