おうし座
媚が溶けるままに
賢者の皮むき
今週のおうし座は、剥いても剥いても玉ねぎであるような野菜のごとし。あるいは、媚が溶けだすままに膿出ししていくような星回り。
山田詠美の『ぼくは勉強ができない』の主人公でイケメン男子高校生の秀美くんの好きなタイプは、剥いても剥いても玉ねぎが玉ねぎであるような人だった。つまり、他人からどう思われようと自然体でいられる人。
そして、逆に「人に好かれようと姑息な努力をする人を見ると困っちゃうたち」で、実際にそういう女子に「困っちゃうんだ」なんて余計な発言を重ねて、「お前もな」といった調子で見事にやり返され、次のような内省を繰り広げていく。
「人には、視線を受け止めるアンテナが付いている。他人からの視線、そして、自分自身からの視線。それを受けると、人は必ず媚という毒を結晶させる。毒をいかにして抜いて行くか。ぼくは、そのことを考えて行かなくてはならない。」
これはそのまま今週のおうし座の課題でもある。
秀美くんは思春期の男の子らしく「皮むき器でぼくのおかしな自意識も削り取ることができればいいのに」なんてひとりごちるけれど、今週のあなたまで彼と同じじゃ余りにだらしがない。
そこはもう、皮なんて剥く必要のない自分というものを知っていくべきだろう。
狂気をすすぐ
秀美くんはいい意味で中途半端でしたが、実際に起こりえるすべての事態を想定し、その葛藤を解決していこうとすると、必然的に人間の狂気の部分を垣間見ることになります。
それは、身近な誰かの狂気かもしれませんし、あなた自身の狂気かもしれません。
いずれにせよ、意識のデッドスペースをついてくるような、サプライズ体験となるでしょう。
その際に大切になってくるのは、そうしたサプライズをどこかゲームのように楽しみ、身を任せ、不必要に恐れることをやめることです。
一見、どんなに深刻に見えることが降りかかろうとも、冗談のように笑って受け流し、ある種の「ドッキリ」として割り切っていくこととも言えるでしょうか。
どんなに精神的に成熟している人だって、神さまが本気でドッキリを仕掛ければ、防ぎようはないのです。
何が起きようとも、新旧のサイクルが交錯する今週は「これも禊か」くらいのつもりで、大らかに構えることを大切にしていきましょう
今週のキーワード
『僕は勉強ができない』