おうし座
失敗と思えるような魔法が人を救う
偶然と運命のはざまで揺れる
今週のおうし座は、魔法の壺から飛び出したハクション大魔王のごとし。すなわち、誰かの願いを叶えるため東奔西走していくような星回り。
「くしゃみひとつで呼ばれたからは、それがわたしのご主人さまよ」という唄い出しで始まる『ハクション大魔王』のOPをリアルタイムで見ていた人は、おそらくこの占いの読者にはいないかもしれないけれど、そこにはどこか今週のおうし座の動きに通底するものがあるように感じます。
この大魔王、クシャミをすると壺の中から呼び出され、相手がもう一度クシャミをするまで壺には帰れないし、ご主人さまの願い事を叶えなければならない。
大魔王は魔法をつかってカンちゃんという小学生の願い事を叶えさせようとするのですが、まあ何をやっても失敗ばかりで、毎回何かと騒動を引き起こしつつも、何とかカンちゃんと一緒に仲良くやっていく訳です。
ただ一方のおうし座(の強い人)というのは基本的にマイペースに行動していくのが楽な人たちなのですが、おうし座で強烈な満月が形成される今週に関してはそうも言っていられなくなる状況に直面していきやすいはず。
ハクション大魔王を見ていると、例え魔法を使えたとしても「何でもすべてが自由になる人はいないんだな」としみじみ感じることがあるのですが、それはそのまま今週のあなたの実感となっていくかも知れません。
しなやかなで流動的な<私>になる
運命や宿命という言葉はある種ふしぎな実感を募らせるものですが、「考える」という機能を発達させた人間特有の感情なのかと考えてみると、至極当然のような気もしてきます。
ちなみにこの「考える」という言葉は「か身交ふ(かむかふ)」から来ていますが、これは日本人というのが何かと交わり境界線をあいまいにしていくことで、新たな思考を生みだしてきたということの端的な表れと言えるでしょう。
車の行きかう音や鳥の声、葉のそよぎに、月から漏れる柔らかな音楽。
そういうものを見たり聞いたりしながら歩いているうちに、外なる自然と内なる自己が交わって、親密な関係となり、そこでひとりで部屋の中で考えているだけじゃ思いつかないようなことが引き出されていく。
媒介としての身体と風のようにゆらめく自分自身。
それは「自立し、揺るぎない存在」となることが尊ばれるようになった近代以降の世界では、一見すると未熟さや失敗のように映ってしまうかもしれませんが、案外そういう人の方がかえって器用に人を救うことができるのではないでしょうか。
今週のキーワード
風になりたい