さそり座
年輪を重ねる
なぜ魔法が使えなくなったのか?
今週のさそり座は、さながら『魔女の宅急便』のキキのごとし。新しい環境やそこでの出会いに揉まれ、さまざまなトラブルに対処していくうちに、樹が年輪を重ねるように、これまでにはなかった「落ち着き」が備わってくるよう。
新しい町で宅急便の仕事を始めたキキは、風にあおられてお届け物を落としたり、雨に降られながらもやっとの思いでニシンのパイを届けるも受け取り人から理不尽な発言を受けたり、雨に降られたことで風邪をひいて熱を出したりと、始めは苦労の連続ながら、次第に仕事も軌道にのっていきます。
ところが、黒猫ジジの言葉が分からなくなり、空も飛べなくなってしまいます。なぜそうなったのでしょうか?これは今週のさそり座にとって大事な問題となるように思います。
小屋での会話
魔法が使えなくなって落ち込んでいたとき、キキはウルスラという女性画家に誘われて彼女のアトリエにしている山奥の小屋へ泊まりにいきます。そこで、彼女の描きかけの絵を目にする。まるで魔法のような、大きな絵です。その夜、ウルスラの「魔法も絵も似てるんだね。あたしもよく描けなくなるよ」という一言から、二人の会話が始まります。
「…私、前は何も考えなくても飛べたの。でも、今はどうやって飛べたのかわからなくなっちゃった…」
「そういう時はじたばたするしかないよ。描いて、描いて、描きまくる!」
「でも、やっぱり飛べなかったら?」
「描くのをやめる!散歩したり景色みたり、昼寝したり、何もしない。そのうち描きたくなるんだよ」
「なるかしら?」-------------------------------------------------------------
「魔法ってさ、呪文を唱えるんじゃないんだね」
「うん、血で飛ぶんだって」
「魔女の血か。いいね、あたしそういうの好きよ。魔女の血、絵描きの血、パン職人の血。神様か誰かがくれた力なんだよね。おかげで苦労もするけどさ」
おそらくキキは、プロとして仕事をしていく上で避けて通ることのできないジレンマに迷い込んでしまったのでしょう。ウルスラの絵には、そんなジレンマの向こう側を垣間見せる不思議な霊力がありました。
今週のキーワード
『魔女の宅急便』、プロとして仕事をしていくことのジレンマ、キキがウルスラの絵に感じた不思議な霊力、魔女の血