さそり座
頭を溶かす
かちんこちん
今週のさそり座は、「頭からやわらかくなる雪だるま」(石井冴)という句のごとし。あるいは、ついつい余計なことを考えてしまう「頭」を溶かして消していくような星回り。
掲句はどこか、世にはびこる頭の固い人々への痛烈な皮肉とも読める。雪だるまでさえ、陽のひかりを浴びれば頭から柔らかくなれるのに。人間さまの方こそ、そんな雪だるまを見習ってはどうか。
禅の世界でも、瞑想状態が深まって心が揺らぐことがなくなってくると、意識のなかからまず最初に頭から消えて、次第に胸、そして腹、四股へと意識の中心が移っていくということが言われています。
しかし、さながら起こっている現実を自分に都合よく解釈することがやめられないように、私たちは大抵いつまで経っても頭を使うことがやめられません。
そうした惰性的な流れを、どうにか少しでも食い止めること。それこそが今週あなたが取り組んでいくべき課題なのだと言えるでしょう。
息を長く吐くこと
ヨガや座禅などでは呼吸法が特に重要とされますが、そこでは一貫して「吐く息」を大切にしなさいという点で不思議と一致しています。
具体的には、息を吐くときは「安らかに息を吐いていく」ということが大切にされている。これはどういうことなのでしょうか?
例えば、日本では人が亡くなる際に「息を引き取る」という言い方をしますが、これは自然において「元に戻っていく力が働いている」さまと言えるのではないかと思います。
つまり、「安らかに息を吐いていく」とは、息を引き取ってくれている側と、引かれているこちら側がスムーズにつながっているということ。
逆に言えば、タイミングがズレていたりテンポが早すぎたりすると、いつまでも頭が残るし、余計なことに振り回され続けてしまう訳です。
とにかく、いい死に際吐き際というのは「上手に引っぱられていく」ということであり、引っ張ってくれる何かを警戒しないで、そこに身を任せている状態なのだということを、今週はなんとなく意識してみてください。
今週のキーワード
潮が引くように元に戻っていく