さそり座
業からの解放
病人と天女
今週のさそり座は、「柚子湯にて吾も天女となりゐたる」(三好潤子)という句のごとし。あるいは、自分を生まれ変わらせるための、静かな変貌を遂げていくような星回り。
江戸時代の日本人は、1年でもっとも日が短くなる冬至の日に柚子湯に入り、小豆粥を食べて生命力を養い、太陽の復活を祈ったのだそう。掲句の作者は昭和の人だが、多病で知られ、生命力の減退には人一倍敏感であったであろうから、柚子湯の効力に覚える感動も人一倍だったはず。
加えて、誰においてもお風呂というのは一番素に戻れる場所であり、少しずつ減っていく生命力の復活にはもってこいの場だ。
自らは一介の人間にして、それだけにあらず。まばゆい光を放つ魅力をまとって、新たなセルフイメージを培っていくこと。それが今週のさそり座のあなたのテーマと言えるでしょう。
自分をホームレス化する
日本社会というのは農耕を原風景としていますから、特定の環境に埋没しそこで歯車と化していくことに、ほとんどの疑問を感じないよう催眠術がかかっています。
しかしもし仮に、あなたが河原でホームレスのおじさんと出会い、「都内に何千万も払って一戸建て購入して、30年ローン組んで自分を疲弊させてる人の方が、よっぽどホームレスなんじゃないの? そもそも家なんて誰かに協力してもらいこそすれ、本来タダで建てるもんだよ」と聞かれたら、あなたは何と答えますか?
「たくましさ」とは、単に体力や経済力の多寡の問題ではなく、世間一般の価値基準を転倒させてでも自分の生きやすい世界をつくれるか否かに比例するように思います。
今週は、さながらたくましいホームレスのように、裸一貫の自分に、改めて立ち戻っていくことになるかもしれません。
今週のキーワード
たくましさを取り戻す