さそり座
腹に力を
蛇穴に入る
今週のさそり座は、「うごく枝に腹つよき力秋の蛇」(飯田蛇笏)という句のごとし。あるいは、安全なルーティンに固執するのでなく、一時的な気分の揺れの下に、ゆるぎない情緒的な基盤を見出していくこと。
「秋の蛇」は晩秋の季語であり、「蛇穴に入る」とも言う。蛇というのはその頃になると、集まってきては数匹から数十匹が一つ穴に入り、絡みあうことで厳しい冬を過ごす生きもの。
その際、原動力となるのは何といっても「腹」です。
句に詠まれている通り、一匹一匹の蛇はときに「枝」と見間違えることもありますが、それらが繋がっている幹であるところの「腹」は他の何かと見間違えることはない。ただし、きちんと腹を使っていれば。
ここでいう腹を使うとは、深く呼吸するということ。息は、深いほどいいんです。
宇宙と呼吸している者は、自然と共に呼吸しているし、苦しい時も、楽しい時も息の乱れることはなく、ゆるぎない紐帯で宇宙と繋がっています。
今週は、じたばたと安易に便利な何かに走るのではなく、太く深い息を養うことで繋がりを取り戻していきましょう。
上手に息を引かれていくこと
なぜ生まれる。なぜ育つ。なぜ生きる。なぜ死ぬ。どれもいまだに分からない。分かっているのは、生きているものはいつか必ず死ぬということだけ。
しかしことのことすら、自分だけは死ぬはずがないと思っているうちは思い出さない。深い息とは、死の向こう側の空気をすこし腹に入れるということでもあります。
自分は絶対に死ぬというところから出発すること。それこそが、ゆるぎない基盤をつくっていくための唯一の作法なのだと思います。
今週のキーワード
呼吸は宇宙との紐帯