さそり座
富める者であれ
「分業」と「協働」
今週のさそり座は、難破船内の宇宙飛行士のごとし。あるいは、マネーの蓄積のためではなく、富の活用のために働いていこうとするような星回り。
宇宙飛行士はサバイバル訓練や操縦訓練など、高度なレベルの訓練を受けており、何よりも専門の枠組みを超えて助け合うためのチームワークや、問題への柔軟な対応能力に長けています。そのため、宇宙船に乗れる人数の制限なども相まって、宇宙での活動は「分業」というよりも「協働」により近いものとなり、しごく合理的にできています。
一方、地上で生きる私たちは、分配された労働をこなすことで生活の糧を得ている訳ですが、そこには合理性とは別の原理が働いて、人びとはすすんで逃げられない状況を作っているかのようであり、巨大な産業構造とセットの分業体制は、ほとんど奴隷状態の少々おしゃれな変形にすぎません。
この点について、かつて発明家で思想家のバックミンスター・フラーは、たとえば難破船のような極限状態では、マネーがいざというときの現実のコントロールにまったく役に立たないということが露わになる、と述べていました。そこでは、富はもはや預金通帳の額面とイコールではなくなり、「未来に向かってエネルギーの再生がうまくいくようにする能力」であり、「なにかを始め、干渉されずに行動していく自由度を高めてい」けるような関係に他ならないのだと喝破してみせたのです(『宇宙船地球号操縦マニュアル』)。
同様に、4月1日にさそり座から数えて「労働」を意味する6番目のおひつじ座で新月を迎えていく今週のあなたにとっても、閉じた分業から開かれた協働への移行していけるかがテーマとなっていきそうです。
地衣類の生存戦略
地衣類は既知のものだけでも1万5000種以上もあり、それらは自立した生物学的存在ではなく、2種の異なる植物から成っています。ひとつは自ら光合成で食べ物を作る小さな海藻の類で、もうひとつは他の有機体に依存して生きる菌類。
このふたつが一緒になって、どちらの類とも外見上も生物史の上でも異なる第三の生物として、いずれも単独では生存できないような過酷な環境(灼熱の砂漠や山頂の残雪、真空状態など)に適応しているのです。
まさに奇跡のような驚くべき存在であり、特に藻類の方は単独でも生きられ、今でもそうしているものもいるということを考えると一見不可解な話ですが、菌類と一緒にいることで藻類の方も乾燥や損傷や電磁波や放射線などの脅威を免れることができるという恩恵を受け取っていることも事実で、やはりこの強力なタッグなしには地衣類は自然界で現在のような多様な展開をすることはできなかったでしょう。
そして、今週のさそり座の人たちにとってもまた、自分で自分の食い扶持を稼ぐだけに留まらない彼らのような在り方は、大いに参考になっていくはず。
さそり座の今週のキーワード
美しく生き延びるために