さそり座
単純人間
こちらは10月18日週の占いです。10月25日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
人間を単純にする暮らし方
今週のさそり座は、カール・ユングのボーリンゲンでの暮らしのごとし。あるいは、普段とは異なるもうひとつの生活リズムを用意していこうとするような星回り。
スイスの心理学者で精神医学者のユングは、都会での忙しい生活のかたわら、休日を利用して執筆にいそしむためにボーリンゲンという小さな村に石造りの簡素な家を建て、そこを隠れ家として使っていました。
そこでユングは朝7時に起き、鍋や釜に向かっておはようとあいさつをしてから、長い時間をかけて朝食とその準備をしてから、執筆や絵画や瞑想や散歩をし、またたっぷり時間をかけて夕食づくりにいそしみ、夕暮れの一杯を楽しんでから十時には就寝しました。
ユングは「ボーリンゲンでは、ほんとうの人生を生きている。とても深いところで自分自身になれるのだ」と書いてその極意を次のように結んでいる。
電気のない生活のなかで、暖炉やコンロの火を絶やさないよう気をつける。日が暮れると古いランプに火を入れる。水道はなく、井戸からポンプで水をくむ。薪を割り、食事を作る。こういった単純な行為が、人間を単純にする。だが、単純であることが、いかに難しいか!
20日にさそり座から数えて「健康と調整」を意味する6番目のおひつじ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、自身をどれだけ単純にできるか試してみるといいでしょう。
闇と戯れる
岡崎京子の『Blue Blue Blue』に、「匂いはいつもあやうい。ことばではない何か。何かが反応してしまう。匂い。夏の。夜の。アスファルトの。あなたの。匂い。」という独白が出てきますが、これがもし明るい蛍光灯の下で吐かれたセリフだったなら拍子抜けしていたことと思います。
まとっている闇が深ければ深いほど、その中で立ちのぼってくる感覚や印象は鮮烈になっていくもの。先のユングもしていたようなことを、かつての日本人は当たり前に体感していましたし、上手に楽しんでもいました。
例えば集まって月の出を待つ「月待」や、怪談を語りあう「百物語」、野山に繰り出す蛍狩りや虫聴きなど、さまざまな機会を持っていたのです。
ふだんは家の闇に身を浸して眠りにつき、特別な夜にはいろんな闇へと繰り出しては闇に親しみ、時に夜更かしや徹夜をして遊んでいました。そこにはもちろん光もありましたが、あくまでそれを包む圧倒的な闇への感覚をむしろ際立たせるためのささやかな‟呼び水”だったのです。
今週のさそり座は、いろんな意味で理性の「灯り」をOFFにしていくことを心がけていくといいでしょう。
さそり座の今週のキーワード
便利さは生活を複雑にする